第二話|なぜ倭から日本へ?天武天皇が神話に隠した意図

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第二話|なぜ倭から日本へ?天武天皇が神話に隠した意図
【この記事は5分ほどで読めます】
「日本」という国名は、いつ、誰が決めたのかご存じですか?
私たちが知る神話には、実は古代の権力闘争や外交の真実が隠されています。この国の「成り立ちの裏側」を紐解きます。
大化の改新(645年)により、日本は豪族支配から天皇中心の中央集権国家へと舵を切りました。天智天皇公地公民制を進める一方、壬申の乱を制した天武天皇は、国号を「日本」と定め、国家のアイデンティティを確立します。

また、『古事記』『日本書紀』の編纂により歴史と神話を体系化しました。出雲の国譲りやヤマタノオロチ退治など、政権交代や貿易の史実が隠されています。古代日本が独立国家としての地位をどう築いたかを紐解きます。

▼ この記事でわかること

  • 天武天皇が日本と名乗った真の狙い
  • 歴史書編纂に隠された政治戦略
  • 神話の正体は貿易と戦争の記録

📚お読みになる前に📚

なぜ天皇中心の国づくりが必要?

大化の改新:645年に蘇我氏を滅ぼし、天皇中心の中央集権国家を目指した政治改革。
公地公民制:豪族が支配していた土地や民衆を、すべて天皇(国家)が直接支配する仕組み。
壬申の乱:天智天皇の没後、次期皇位をめぐって起きた、古代日本で最大の内乱。

歴史の教科書で必ず目にする大化の改新ですが、これは単なるクーデターではありません。蘇我氏による専横的な政治を終わらせ、中大兄皇子(後の天智天皇)らが目指したのは、日本を「豪族の連合体」から「一つの強力な国家」へ作り変えることでした。その核となった政策が公地公民制です。


しかし、急激な改革は痛みを伴います。既得権益を奪われた豪族たちの不満は高まり、それが爆発したのが672年の壬申の乱でした。これは天智天皇の弟と子との間で起きた骨肉の争いです。大海人皇子(弟)が勝利し、天武天皇として即位します。皮肉にも、この激しい内戦を勝ち抜いたことで権力が一カ所に集中し、結果として政治は安定期を迎えることになりました。

🔍 つまりどういうこと?🔍

会社で例えるなら、創業家(豪族)が好き勝手に経営していた中小企業の集合体を、強力な社長(天皇)がトップダウンで管理する大企業へと統合したようなものです。その過程で起きた派閥争い(壬申の乱)を制した新社長(天武天皇)が、ようやく盤石な経営体制を築き上げたと言えます。


天武天皇による国号制定と歴史編纂のイメージ


── では、この国が正式に「日本」と名乗ったのはいつなのか、見ていきましょう。

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国号と歴史書はいつ生まれた?

古事記:神話や伝承を、国内向けに物語としてまとめた最古の歴史書。
日本書紀:日本の正当性を主張するため、中国に倣って編纂された正史。
稗田阿礼:天武天皇の命を受け、各地に散らばる帝紀や旧辞をすべて暗記した驚異的な人物。

天武天皇の時代に画期的だったのは、それまで「倭」「大和」と呼ばれていた国号を、正式に「日本」と定めたことです。さらに、国のアイデンティティを確立するために不可欠だったのが、自国の歴史を文書化することでした。そこで作られたのが、古事記日本書紀です。これらは、国内の結束と海外へのアピールという、異なる役割を担っていました。


しかし、当時は文字の記録が不十分で、各地にバラバラの伝承が残っている状態でした。そこで天武天皇が抜擢したのが稗田阿礼です。彼は驚くべき記憶力で、口頭で伝えられてきた膨大な伝承をすべて暗記しました。彼の頭の中のデータを、後に太安万侶(おおのやすまろ)が書き留めることで『古事記』は完成します。

🔍 つまりどういうこと?🔍

独立国家としてデビューするには、「自分たちが何者か」を証明するプロフィール(歴史書)が必要でした。内輪で盛り上がるための物語(古事記)と、取引先に見せるための公式な会社案内(日本書紀)を使い分けた戦略は、現代のブランディングにも通じるものがあります。

💡 情報が混み合っていませんか?細かい時系列は、年号整理ページ にまとめてあります。是非ご活用ください。


ヤマタノオロチとスサノオの対決イメージ


── では、その神話の中に隠された「史実」の可能性を探ってみましょう。

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神話に隠された外交と貿易の真実?

三貴神:イザナギとイザナミから生まれた、アマテラス・ツクヨミ・スサノオ。
天孫降臨:天上の神の孫であるニニギノミコトが、地上を治めるために高天原から降りた神話。
遣隋使:飛鳥時代に、文化や制度を学ぶために日本から隋へ派遣された使節。

『古事記』に登場する三貴神の一人、スサノオがヤマタノオロチを退治する物語は有名ですが、これを単なる怪物退治と読むのは早計かもしれません。一説には、オロチは「鉄などの物資を積んだ中国の貿易船」を象徴しているとも言われます。貿易商を武力で討伐し、技術や物資を奪い取った史実の可能性があります。


また、神話が編纂される少し前、推古天皇の時代には遣隋使の小野妹子が有名な国書を隋に渡しています。「日出ずる処の天子…」という書き出しは、中国の皇帝を激怒させましたが、これこそが日本の独立宣言でした。小野妹子が返書を紛失したという報告も、実は中国側からの不都合な返答を隠すための高度な政治的判断だったと推測されています。

🔍 つまりどういうこと?🔍

神話は「昔話」ではなく、当時の政治的事件や外交勝利をデフォルメして伝えた「歴史の記録」という側面があります。怪物退治も国譲りも、大和政権がライバルを吸収し、対外的な独立を果たしていくプロセスの比喩として読むと、非常にリアルな権力闘争が見えてきます。


── 👀 読むのが疲れてきませんか? 「歴史は好きだけど、文字を読む時間はあまりない…」 そんな方には、耳で聴く読書がオススメ。

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── 最後に、この記事のまとめFAQでおさらいしましょう。

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まとめ:古代日本とアイデンティティ

  今回は、大化の改新から奈良時代にかけて、日本という国がどのように形作られたかを探究してきました。そして、『古事記』『日本書紀』の編纂には、政権交代や貿易の史実が隠されていました。
この記事のポイントは、以下の3つです。

天智・天武天皇が中央集権化
「日本」の国号と歴史書が確立
神話には外交や政治の史実が隠れる

ここで得た小さな気づきが、明日のあなたの視野をほんの少しだけ広げてくれますように。

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❓この記事のテーマに関するFAQ❓

Q1.「日本」という国名はいつから使われていますか?

天武天皇の時代(7世紀後半)から正式に使用されます。それまでは「倭」や「大和」と呼ばれていましたが、対外的に独立国であることを示すために定められました。

Q2.古事記と日本書紀の違いは何ですか?

『古事記』は国内向けに物語調で書かれた伝承のまとめで、『日本書紀』は海外向けに編年体で書かれた公式の歴史書です。目的や読者対象が明確に異なっていました。

Q3.神話はどこまで史実に基づいているのでしょうか?

大きな政治的事件を比喩として表現している可能性が高いです。物語として楽しみつつ、「この怪物は当時の何を表しているのか?」と推測する視点が学びを深めます。

[主な参考資料]
・佐藤信ほか編『詳説日本史(日本史探究)』山川出版社,2023
・国史教科書編纂委員会編『市販版 国史教科書』PHP研究所,2024
・笹山晴生ほか編『詳説 日本史史料集』山川出版社
出典:Wikimedia Commons
※当記事は上記の信頼できる書籍・史料に基づき作成していますが、わかりやすさを優先した独自の表現を含みます

🖋 この記事を書いた人 🖋

Alex Kei(学び直し歴史ライター)

早稲田大学創造理工学部卒。複数の教科書と専門書を読み比べながら、【大人の学び直し】に特化した記事を執筆しています。


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