世界恐慌と金解禁の失敗!日本が破滅の道を選ぶ|5分de探究#107

昭和・平成
世界恐慌と金解禁の失敗!日本が破滅の道を選ぶ|5分de探究#107
なぜ当時の日本は、勝ち目のない戦争へ突入したのでしょうか?


大不況で生活が脅かされ、政治家への不信が渦巻いていたあの時代。軍部が支持され、破滅の道を選んだ悲劇を”5分”で紐解きます。

▼ この記事でわかること

Q. 世界恐慌と金解禁の失敗は日本に何をもたらしたのか?


農村の困窮と深刻な政治不信を招き、統帥権の独立を盾にした軍部の台頭と暴走を許しました。

なぜ日本は無謀な戦争へ突入したのでしょうか?その最大の要因は、1930年代初頭の「文民統制の崩壊」にあります。世界恐慌による農村の困窮に加え、金解禁という経済政策の失敗が国民生活を直撃し、社会全体が疲弊しました。

人々は財閥や富裕層ばかりを優遇するように見える政党政治に絶望し、信頼を失います。その隙を突くように、統帥権の独立を盾にした軍部が台頭。農村の惨状を憂う青年将校たちの怒りが、日本を破滅の道へと押し出していったのです。

世界恐慌と金解禁が招いた「経済混乱」

世界恐慌:1929年の米国株暴落に端を発し、日本の生糸や米の価格を暴落させた未曾有の経済危機
金解禁:国際信用回復を目指し浜口内閣が断行したが、深刻なデフレ不況を招いた失敗の金融政策
立憲民政党:金解禁を主導したものの、経済失政により国民の生活を困窮させ信頼を失った戦前の政党

太平洋戦争での日本の敗北は、物量差を見れば明らかでした。では、なぜそんな無謀な選択をしたのでしょうか?その背景には、世界恐慌による経済の壊滅的な打撃がありました。特に資源の乏しい日本にとって、主要輸出品である生糸や米の価格暴落は致命的であり、農村部の所得は瞬く間に激減し、生活は困窮を極めました


さらに追い打ちをかけたのが、当時の立憲民政党政権による金解禁です。円の信用を高めようとしたこの政策は、不況下で行われたために「治療が病気よりも悪い」結果を招きました。物価は急激に下落し、企業の倒産や失業者が溢れるなど不況はさらに深刻化しました。この経済失政が、社会不安の大きな火種となったのです。

🔍 つまりどういうこと?🔍

当時の日本は、世界的な不況の波に飲み込まれ、経済がボロボロの状態でした。そこへ政府がタイミングの悪い政策を行い、傷口をさらに広げてしまったのです。明日をも知れぬ生活の苦しさが、国民の間に政治への不満を爆発させる下地を作り、社会全体を不安定にさせていたのです。


経済失政が政治に与える影響


── では、この経済失政が政治にどう影響したのか見ていきましょう。

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国民の信頼を失い崩壊する戦前の「政党政治」

政党政治:大正デモクラシーで花開いたが、特権階級の利益代表と見なされ国民と乖離した統治形態
財閥:政党と癒着して私腹を肥やしていると批判され、困窮する国民の怒りの標的となった富裕層
農村の疲弊:恐慌による農産物価格の暴落で収入が激減し、娘の身売りなど悲惨な状況を生んだ社会問題

1920年代、日本には政党政治が定着しつつありました。しかし、不況への対応に失敗したことで、政党は「国民の味方」という看板を下ろさざるを得なくなります。生活に苦しむ一般大衆の目には、政治家たちが財閥や都市部の富裕層の利益ばかりを優先し、自分たちを見捨てているように映り、強い失望感が広がっていました。


特に農村の疲弊は深刻で、平均所得は67%も減少しました。娘を身売りに出すほどの極貧状態にある農家にとって、金解禁に固執し、メンツを保とうとする政治家の姿は許しがたいものでした。こうして、「政党=特権階級の守護者」という認識が広まり、民主主義への信頼は音を立てて崩れ、政治への期待は怒りへ変わりました。

🔍 つまりどういうこと?🔍

政治家たちは「一部のお金持ちのためだけに働いている」と思われてしまい、国民の心が完全に離れてしまいました。明日の食事にも困る人々にとって、当時の政治はあまりにも冷たく、無力に見えたのです。自分たちの苦境を救ってくれない政治家に対し、国民は完全に愛想を尽かしていました

💡 情報が混み合っていませんか?細かい時系列は、年号整理ページ にまとめてあります。是非ご活用ください。


政治不信の隙間に入り込む存在


── では、この政治不信の隙間に誰が入り込んだのでしょうか。

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統帥権の独立を盾に暴走を始める「軍部」

統帥権の独立:軍の指揮権は天皇に直属し、議会や内閣の統制を受けないとした明治憲法の致命的な欠陥
ワシントン体制:軍縮や不戦条約など欧米主導の国際協調路線だが、軍部には屈辱的な従属と映った国際秩序
青年将校:農村出身者が多く、疲弊する故郷を救うために腐敗した政党の打倒を目指した過激な軍人

政治の空白を埋めるように台頭したのが軍部です。明治憲法には統帥権の独立という規定があり、軍は政府のコントロールを受けず、天皇にのみ責任を負う構造でした。さらに、当時の政府が進めたワシントン体制などの国際協調路線は、軍人たちにとって「欧米への屈辱的な追従」としか映らず、政府への反発心を高めていました。


特に陸軍の青年将校たちは、貧しい農村出身者が多く、故郷の惨状を肌で感じていました。彼らは「腐敗した政治家や財閥が日本をダメにしている」と強く信じ込み、実力行使も辞さない過激な思想へと傾倒していきます。このエネルギーが満州事変などの対外侵略へとつながり、国家の破滅へのカウントダウンが始まったのです。

🔍 つまりどういうこと?🔍

法律の抜け穴を使って政府の言うことを聞かなくなった軍部が、貧しい国民の怒りを吸収して暴走を始めました。「悪い政治家を倒し、自分たちが正義を行う」という危険な熱気が、国全体を覆い始めました。国民もまた、現状を打破してくれる強いリーダーとして彼らを支持してしまったのです。


── 👀 読むのが疲れてきませんか? 「歴史は好きだけど、文字を読む時間はあまりない…」 そんな方には、耳で聴く読書がオススメ。

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── 最後に、この記事のまとめFAQでおさらいしましょう。

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まとめ:軍部の台頭を招いた「政治不全」

今回見てきたように、日本が戦争への道を歩み始めた背景には、経済政策の失敗とそれに続く政治不信がありました。生活の基盤が崩れ、誰も頼れなくなった時、人々は強硬な解決策を提示する勢力に惹かれやすくなります。この歴史の流れは、現代にも通じる教訓です。危機下では冷静な判断より感情的な選択が優先されやすいことを、私たちは歴史から学ぶ必要があります。

恐慌と金解禁の失敗が招いた経済の自滅
特権階級と見なされ信頼を失った政党
憲法の欠陥と不満を背景にした軍の台頭

ここで得た小さな気づきが、明日のあなたの視野をほんの少しだけ広げてくれますように。

❓この記事のテーマに関するFAQ❓

Q1.なぜ不況なのに金解禁を行ったのですか?

円の国際的な信用を高め、国家の威信を保つためでした。しかし、タイミングが悪く、結果的に国内経済をさらに悪化させてしまいました。

Q2.なぜ軍部は政党政治を嫌ったのですか?

政党が財閥と癒着し、地方の貧困を無視していると考えたからです。また、欧米に追従する外交姿勢も軟弱だと激しく批判しました。

Q3.この歴史から何を学ぶべきですか?

経済的な困窮は、過激な思想を招きやすいということです。政治への信頼が失われると、社会全体が極端な方向へ進む危険性があります。
各時代の FAQ は、FAQまとめページ で一気見できます。是非ご活用ください。

[主な参考資料]
・佐藤信ほか編『詳説日本史(日本史探究)』山川出版社,2023
・国史教科書編纂委員会編『市販版 国史教科書』PHP研究所,2024
・笹山晴生ほか編『詳説 日本史史料集』山川出版社
出典:Wikimedia Commons
※当記事は上記の信頼できる書籍・史料に基づき作成していますが、わかりやすさを優先した独自の表現を含みます

🖋この記事を書いた人🖋

Alex Kei(学び直し歴史ライター)

早稲田大学創造理工学部卒。複数の教科書と専門書を読み比べながら、【大人の学び直し】に特化した記事を執筆しています。
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