真珠湾攻撃と三国同盟!なぜアメリカと戦争?|5分de探究#110

昭和・平成
真珠湾攻撃と三国同盟!なぜアメリカと戦争?|5分de探究#110
なぜ日本は勝てるはずのないアメリカに挑んだのでしょうか?


冷静さを失い、誰もブレーキを踏めないまま破滅へ突き進んだ組織の暴走。その衝撃的な意思決定の裏側を”5分”で紐解きます。

▼ この記事でわかること

Q. 真珠湾攻撃と三国同盟はなぜアメリカとの戦争を招いたのか?


三国同盟が米国の石油禁輸を招き、指導部が勝算より組織の面子を優先して対米開戦暴走したことが原因です。

日中戦争の泥沼化に苦しむ日本は、資源確保と局面打開を目指して日独伊三国同盟を締結しました。しかしこの外交的威嚇はアメリカの逆鱗に触れ、石油禁輸という致命的な制裁を招いてしまう結果となります。

追い詰められた指導部は、勝算よりも組織の面子や責任回避を優先し、一か八かの対米開戦という暴挙を選択しました。誰もブレーキを踏めないまま破滅へと突き進んだ、無責任な意思決定のプロセスと悲劇の裏側を解き明かします。

📚お読みになる前に📚

真珠湾攻撃と三国同盟!戦争の「理由」

国体の本義:文部省が発行した、天皇中心の国家観を国民に徹底して植え付けるための思想指導書。
新体制運動:近衛文麿が主導した、強力な指導体制を構築して戦争遂行を全面的に目指す政治運動。
大政翼賛会:既存の政党をすべて解散させ、政府の方針に国民を完全に統合するために結成された組織。

終わりの見えない日中戦争の泥沼化は、日本を恐ろしい泥沼へと引きずり込んでいました。和平の道が閉ざされる中、政府は国体の本義を用いたプロパガンダで国民を鼓舞し、さらなる犠牲を強いるしかなくなります。さらに近衛文麿首相による新体制運動が強力に推し進められ、国全体が急速に「上からのファシズム」へと変貌していきました。


自由な言論や政党政治大政翼賛会へと吸収され、経済や労働組合までもが国家の強い統制下に置かれます。しかし、どれほど国内を厳しく引き締めても、戦争遂行に不可欠なゴムや石油といった資源は枯渇する一方でした。このジレンマが、やがて日本をさらなる拡大路線、つまり国家としての破滅的な選択へと駆り立てることになるのです。

🔍 つまりどういうこと?🔍

戦争の長期化に伴う深刻な資源不足と閉塞感を打破しようと、政府は国民生活を徹底的に統制する強固な体制を作り上げました。しかしそれは根本的な解決策にはなり得ず、むしろ国民全体を巻き込みながら、後戻りできない破滅的な状況を自らの手で着実に作り出してしまったといえるでしょう。


当時の政府が発行したパンフレットやスローガンのイメージ


── では、外交の舞台で何が起きていたのかを探りましょう。

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致命的な誤算となった「顔へのパンチ」

仏領インドシナ:資源確保と援蒋ルート遮断のため、日本軍が武力を背景に強引に進駐したフランスの植民地。
松岡洋右:日独伊三国同盟を強力に推進し、対米強硬外交を積極的に展開した、当時の外務大臣。
日独伊三国同盟:ヨーロッパの戦勝国と手を組み、アメリカを強く牽制するために結ばれた、軍事同盟。

資源を求めた日本は、ドイツに敗れたフランスの隙を突き、現在のベトナム周辺である仏領インドシナへ進出します。この動きを主導したのが外相の松岡洋右でした。彼はアメリカ文化を知るがゆえに、「礼儀正しさよりも顔を殴るような威嚇こそが相手を尊敬させる」という、あまりに危険で独自の信念を強く持っていたのです。


松岡が放った最大の一撃が、ドイツ・イタリアと手を組む日独伊三国同盟です。しかし、これは「顔へのパンチ」どころか、ナチスを敵視するアメリカを完全に激怒させる結果となりました。ワシントンは日本を「正義の平和の敵」と断定し、関係修復は絶望的になります。外交的な賭けは、最悪の形で裏目に出てしまったのです。

🔍 つまりどういうこと?🔍

アメリカを牽制して譲歩を引き出そうとした強硬外交が、逆に相手の敵対心を決定的なものにしてしまいました。資源確保への焦りが冷静な国際情勢の分析を曇らせ、日本を世界の中で孤立無援の立場へと追いやり、結果として自らの首を絞める最悪の事態を招くことになってしまったと言えるでしょう。

💡 情報が混み合っていませんか?細かい時系列は、年号整理ページ にまとめてあります。是非ご活用ください。


真珠湾攻撃の進路を示した地図のイメージ


── では、最終的な決断がどのように下されたのかに迫りましょう。

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誰もブレーキを踏まない「暴走バス」

対日石油禁輸:日本の南部仏印進駐に対抗してアメリカが行った、経済的な息の根を止める厳しい制裁。
山本五十六:対米戦争の困難さを知りながら、真珠湾攻撃を立案し指揮した、当時の連合艦隊司令長官。
東條英機:開戦時の首相で、対米強硬姿勢を崩さず「清水の舞台」から飛び降りた、陸軍大将。

アメリカによる対日石油禁輸は、日本の生命線を断つ決定打でした。屈服か開戦かの二択を迫られた指導部の中で、海軍の山本五十六は勝算の低さを理解していましたが、組織の予算確保のために「勝てない」とは言えませんでした。そして首相の東條英機は、生存確率の極めて低い「清水の舞台」から飛び降りる決断をします。


恐ろしいのは、誰もが「勝てる」と本気で信じていなかったことです。歴史家の堀田江理が指摘するように、日本は現実的な計画なしに、一時の運に頼るギャンブラーとして戦争を開始しました。「バスを運転している人」が誰もいないまま、国家という巨大なバスは崖に向かってアクセルを、思い切り踏み込んでしまったのです。

🔍 つまりどういうこと?🔍

合理的な勝算よりも、組織内の力関係「今まで費やした犠牲を無駄にできない」というサンクコストの呪縛が優先されました。誰も責任を取って止めることができない、無責任な集団指導体制が悲劇を生み、国全体を破滅への道へと、誰にも止められないまま引きずり込んでしまったといえるでしょう。


── 👀 読むのが疲れてきませんか? 「歴史は好きだけど、文字を読む時間はあまりない…」 そんな方には、耳で聴く読書がオススメ。

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── 最後に、この記事のまとめFAQでおさらいしましょう。

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まとめ:誰も止められなかった「暴走」

日中戦争の泥沼化から始まった日本の悲劇は、資源不足と外交の失敗によって加速しました。松岡洋右の強硬外交はアメリカを敵に回し、石油禁輸を招きます。最終的に、組織の論理に縛られた指導者たちは、勝算なきギャンブルとしての開戦を選択しました。リーダー不在の暴走は、私たちに組織決定の危うさを教えてくれます。
この記事のポイントは、以下の3つです。

泥沼の戦況と資源の枯渇
三国同盟という外交的失策
責任者不在の組織の暴走

ここで得た小さな気づきが、明日のあなたの視野をほんの少しだけ広げてくれますように。

❓この記事のテーマに関するFAQ❓

Q1.なぜ日本は勝てない戦争を始めたのですか?

石油などの資源が枯渇する恐怖と、中国からの撤退を拒む軍部の面子が優先されたためです。合理的な勝算よりも、現状維持のための賭けを選びました。

Q2.日独伊三国同盟の本来の狙いは何でしたか?

アメリカに対する威嚇(顔へのパンチ)で、日本の行動を認めさせることが狙いでした。しかし実際にはアメリカの警戒心を強め、逆効果になりました。

Q3.この歴史から私たちは何を学ぶべきですか?

誰も責任を取らない「空気」で重要な決定がなされる組織の危険性です。短期的利益を優先し、長期的視点を失うことの恐ろしさを学ぶことができます。

各時代の FAQ は、FAQまとめページ で一気見できます。是非ご活用ください。

[主な参考資料]
・佐藤信ほか編『詳説日本史(日本史探究)』山川出版社,2023
・国史教科書編纂委員会編『市販版 国史教科書』PHP研究所,2024
・笹山晴生ほか編『詳説 日本史史料集』山川出版社
出典:Wikimedia Commons
※当記事は上記の信頼できる書籍・史料に基づき作成していますが、わかりやすさを優先した独自の表現を含みます

🖋この記事を書いた人🖋

Alex Kei(学び直し歴史ライター)

早稲田大学創造理工学部卒。複数の教科書と専門書を読み比べながら、【大人の学び直し】に特化した記事を執筆しています。
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