複数の夢を追うと、毎日が「やりかけ」の山になりがちです。夜に10分だけ翌日の予定を書き出すことで、一つずつ終わらせる力と自信を取り戻す時間術をまとめます。
アスリート、音楽家、専門職という複数の道を同時に走ろうとして行き詰まった人が、毎晩10分の計画と「目標の色分け」で人生を再設計した経験をもとに、忙しい大人でも真似しやすい集中のコツを整理します。
10分の計画で一日を設計する
タイムブロッキング： 時間帯ごとにやることをあらかじめ割り当てる手帳の使い方。
セルフマネジメント： 自分の時間やエネルギーの配分を自分で管理すること。
先延ばし： やるべきことを理由をつけて後ろにずらし続ける心のクセ。
複数の仕事や勉強を抱えていると、頭の中はいつも「やらなければならないこと」でいっぱいになります。そこで役に立つのが、夜に10分だけ翌日を書き出すタイムブロッキングです。起きる時間、移動、仕事、勉強、趣味、休憩までをざっくり時間帯ごとに区切り、手帳やメモに並べていきます。これは、他人に管理されるのではなく、自分で配分を決めるセルフマネジメントの基本です。頭の中で考えるだけだと、気分次第で先延ばしが入り込みますが、紙に書いてしまうと「約束」として自分に返ってきます。
例えば「朝は通学・通勤前に30分だけ復習」「夕方にスポーツ」「夜は1時間だけ資格の勉強」といったように、小さな時間帯を組み合わせていきます。重要なのは、全部をぎっしり詰め込むのではなく、あらかじめ「何も入れない余白」を残しておくことです。そうすると、急な電話や用事が入っても、計画全体を壊さずに調整できるようになります。
夜に10分だけ翌日を書き出すと、一日が「なんとなく始まり、なんとなく終わる」状態から抜け出せます。時間帯ごとにタイムブロッキングすることで、「今日はこれだけやればいい」という線がはっきりし、気分や疲れに振り回されにくくなります。完璧な計画を作ることが目的ではなく、「自分で決めた一日」を毎朝受け取れるようにするのが狙いです。
マルチタスク神話より一つずつ終わらせる
マルチタスク： 複数の作業を同時にこなしているように見える働き方。
シングルタスク： 一つの作業に意識を集中させて終わらせてから次へ進むやり方。
認知負荷： 脳が同時に処理しようとしている情報の多さによる負担。
「同時にいろいろこなせる人が優秀だ」というイメージから、全てを抱え込んでしまうことがあります。しかし、人の脳は本来マルチタスクが得意ではありません。実際には、注意が細かく切り替わっているだけで、そのたびに認知負荷が積み重なります。その結果、どの作業も中途半端に終わり、達成感のない一日になってしまいます。そこで、あえてシングルタスクに切り替えることが大切です。「今はこの30分だけレポート」「次の30分はメール」と時間で区切り、同じ時間帯に二つ以上のゴールを置かないようにします。
シングルタスクにすると、一つの作業に深く入り込めるので、結果的にスピードも質も上がりやすくなります。また、「途中で別のことを始めない」と決めるだけで、やりかけ仕事の数が減り、机の上も頭の中もすっきりします。忙しい人ほど、「同時にこなす」より「順番に終わらせる」方が、実は効率的なのです。
たくさんの役割を持つ人ほど、「全部を同時にやろう」とすると消耗します。脳はシングルタスクでこそ力を発揮するので、時間を区切り、一度に一つだけに集中することが、遠回りに見えて一番の近道です。「いまやること」を細かく決めることで、仕事も勉強も趣味も、少しずつ確実に前に進みます。
目標を色分けして優先度を見抜く
ゴール設定： 将来どうなりたいかを具体的な形で言葉にすること。
優先順位： 限られた時間の中で、何を先に進めるかの順番。
トラフィックライト法： 信号の色のように、目標をグリーン・イエロー・レッドで区分して整理する考え方。
やりたいことが多い人ほど、「どこまで本気で目指すのか」があいまいになりがちです。そこで役に立つのがゴール設定とトラフィックライト法です。例えば、「スポーツで表彰台に立ちたい」「楽器で観客の前に立ちたい」「専門職として一人前になりたい」といった夢を書き出し、それぞれについて「どれくらい時間とエネルギーを注ぐか」を自分に問い直します。全力で取り組むものはグリーン、しばらく様子を見たいものはイエロー、今は手を広げすぎているものはレッド、と信号機のように色分けすると、自然と優先順位が見えてきます。
色分けのポイントは、「できているかどうか」ではなく、「どこへ行きたいのか」がはっきりしているかどうかです。行き先があいまいな目標はレッドとして一度立ち止まり、時間をかけて考え直す必要があります。逆に、グリーンにした目標には、タイムブロックやシングルタスクを優先的に割り当てていきます。こうして選び取った目標に集中することで、限られた時間でも「進んでいる感覚」を得やすくなります。
「あれもこれも大事」と感じるときは、まず紙の上でゴール設定をやり直し、トラフィックライト法で色分けしてみると整理しやすくなります。全部を同じ強さで追いかけるのではなく、本気で進めたいゴールだけに多めの時間を配分し、その他は一時的に減速させる。その割り切りが、後悔の少ない選択につながります。
まとめ：『できることだけ』を丁寧に詰め込む
複数の夢や役割を抱えながら生きることは、決して間違いではありません。ただし、全てを同時に全力で追いかけようとすると、集中が分散し、どれも中途半端になってしまいます。毎晩10分の計画で一日を設計し、マルチタスクをやめてシングルタスクに切り替え、さらに目標を色分けして優先順位を決めることで、「できることだけを、しっかり終わらせる」一日に変えていけます。失敗した日があっても、それを「より良い計画を学ぶチャンス」と見なせば、少しずつ自分に合った働き方や学び方が見えてきます。
毎晩10分かけて翌日の計画を書く
一度に一つだけに集中する時間帯を必ずつくる
目標を書き出しトラフィックライト法で優先度を決める
以上が本記事から得られる学びです。最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
コメント