
『選択的夫婦別氏法案』
第217回国会 衆議院法務委員会
2025年6月17日
2025年6月17日

📖 これまでのおさらい 📖
「完全な合意」なき改姓の現状やジェンダー格差が浮き彫りに!一方、保守派からは家族の秩序や調査データに対する鋭い追及が!◀︎ 慎重・反対
伝統的家族観と多数派の秩序を重んじる保守派
伝統的家族観と多数派の秩序を重んじる保守派
VS
賛成・推進 ▶︎
ジェンダー平等と個人の自由な選択を求める野党・参考人
ジェンダー平等と個人の自由な選択を求める野党・参考人
賛
日本共産党 本村伸子
寺原参考人に伺います。夫婦同氏制度に例外を許さないことの合理性について、これまで国から明確に主張されたことはありますか?タップで全文表示▼
○本村委員 現実を見てそういうふうに思われているということは、大事なことだというふうに思っております。 では、再び寺原さんに伺いたいと思います。 夫婦同氏制度に例外を許さないことの合理性について、訴訟の中で国から主張をされたことがあるのかという点、伺いたいと思います。
賛
参考人 寺原真希子
最高裁は「一つに定めることにも合理性はあるが、選択的夫婦別氏制度に合理性がないと言うことはできない」と明示しています。タップで全文表示▼
○寺原参考人 ありがとうございます。 本委員会の中でも何度か、最高裁が、夫婦が同氏である、一つにするということに合理性があるということで、そういうふうに家族が定義をされたんだというふうな御発言が何回かあったかと思います。 それは間違いで、最高裁は、一つに定めることにも合理性があるし、わざわざ別のところで、選択的夫婦別氏制度に合理性がないと言うことはできないということを明示しています。実際、家族の形がもう様々である中で、一つの形に決めるということはなかなか最高裁の方で言うことはできないということかなというふうに理解をしております。
賛
日本共産党 本村伸子
割田参考人。事実婚における公正証書はどのような時に生かせるのか、使い勝手について教えてください。タップで全文表示▼
○本村委員 ありがとうございます。 また割田さんに伺いたいというふうに思います。 事実婚で、様々な法的な保護が受けられない、不利益があるということですけれども、公正証書を作ったということですけれども、これはどのようなときに生かせるのかという点、伺いたいというふうに思います。そして、その使い勝手といいますか、是非お聞かせをいただきたいと思います。
賛
参考人 割田伊織
作ってから半年間、公正証書を使ったことは一度もありません。結局は二人だけの約束にすぎないことを実感しています。タップで全文表示▼
○割田参考人 公正証書をどういうときに使うかという点ですけれども、正直、作ってからの半年間、どこかに公正証書を持っていって、結婚していますということを言ったことはありません。やはり、作っていく過程で弁護士さんにも言われたとおり、二人だけの約束にすぎないということが、実感したというところです。 公正証書の意義としては、私たちがいわゆる婚姻届のようなものを作りたいと思って提出したものですので、作ったことに関しては非常に満足感がいっていますが、あくまでも私たちのものだなという実感があります。 以上です。
賛
日本共産党 本村伸子
寺原参考人に伺います。自由かつ完全な合意のみにより婚姻をする権利がある中、女性が多く改姓させられている現状は「平等に選んでいる(完全な合意)」と言えるのでしょうか。タップで全文表示▼
○寺原参考人 弁護士の寺原と申します。 本日は、発言の機会をありがとうございます。また、今回法案を提出くださった三党の皆様には、その御尽力に心から感謝申し上げます。 私からは、最高裁判決の位置づけ、婚姻の本質と戸籍の根幹、それから旧姓の法制化では解決しないことの三点について、いずれも感情論ではなく、法的な立場から整理して申し上げたいと思います。 まず第一に、夫婦同氏制度に係る最高裁判決の位置づけですが、お手元の資料一ページにて抜粋しておりますとおり、最高裁は、選択的夫婦別氏制度の合理性を否定したものではなく、むしろ、改姓によるアイデンティティーの喪失感、男女間の実質的不平等、事実婚を選択せざるを得ない人々の存在を認定した上で、事情の変化いかんによっては違憲となる可能性にまで言及しつつ、議論の高まりを国会が受け止めるべきであると述べています。 また、資料二から三ページにまとめましたように、第一次、第二次訴訟を通して合計十名の最高裁判事が現在の夫婦同氏制度は憲法に違反すると判断しており、憲法学界においても、違憲であるとの見解が圧倒的多数説となっています。 その理由は、一言で言えば、婚姻と氏という、いずれも人にとって重要な価値を有するものの二者択一を迫るということの不合理性にあり、憲法十三条が保障する氏名権、十四条一項が保障する平等権、二十四条一項が保障する婚姻の自由や夫婦間の平等、二十四条二項が保障する個人の尊厳や両性の本質的平等がその根拠として挙げられています。 すなわち、これは人権侵害をどう解消するかという問題であって、困っている人の数が多くないとか世論が分かれているといった観点で比較考量すべき問題ではないという点を最初に強調させていただきたいと思います。 同時に、二〇二一年の内閣府による調査結果から試算しますと、別氏での婚姻希望者は約九百三十四万人となりますので、実際には少数とは言えない人数に及んでいるということも申し添えます。 第二に、婚姻の本質と戸籍の根幹について法的に整理をさせていただきますと、まず、婚姻の本質は、資料四ページにありますとおり、最高裁判例によって、両性が永続的な精神的及び肉体的結合を目的として真摯な意思をもって共同生活を営むことにあると解されています。 つまり、同氏は婚姻の本質ではありません。二〇一五年の最高裁判決においても、木内裁判官が、同氏でない婚姻をした夫婦は破綻しやすくなる、あるいは、夫婦間の子の生育がうまくいかなくなるという根拠はないと指摘しています。 同様に、夫婦、親子同氏が戸籍の根幹であるとの理解も不正確ないし誤りです。戸籍の本質、根幹は、法務省より繰り返し答弁がなされているとおり、親族的身分関係の登録、公証にあります。 そのためには同氏であることは必要不可欠ではなく、そうであるからこそ、法制審案は、同氏か別氏かにかかわらず、夫婦、親子を同じ戸籍に入れて家族として登録、公証することを優先、重視したものです。 そもそも、民法は、一九四七年の制定当初より、連れ子再婚、国際結婚など、親子別氏の家族を想定し、包含しています。親子別氏が子の福祉を害するのであれば、それを許さない制度となっているはずですが、そうはなっていません。 資料四ページに示しましたように、令和三年の最高裁決定において、宮崎、宇賀両裁判官も、子の氏とその両親の氏が同じである家族というのは、民法制度上、多様な形態を取ることが容認されている様々な家族の在り方の一つのプロトタイプ、法的強制力のないモデルにすぎない、そのプロトタイプたる家族形態において氏が家族の呼称としての意義を有するというだけで人格的利益の侵害を正当化することはできないと指摘しています。 第三に、旧姓の法制化につきましては、これまで世論調査において中身が明らかにされないまま賛否が問われてきた中で、今回、法案という形で内容を明らかにしてくださった日本維新の会の皆様には心から敬意を表します。 その上で、維新案は、ダブルネームではないとの御説明もなされているところですが、法案を拝見しますと、一人の人物に戸籍姓と旧姓という二つの法的な呼称を認めるというものですから、これはどう読んでも、法的にダブルネームを認めることにほかなりません。ですので、もし世論調査をするなら、一人の人物が二つの法的な氏名を持つことへの賛否を問う必要があると思います。 また、維新の先生の御説明では、私企業に対しては努力義務しか課せないものの、公的書類に旧姓のみが表示される中で、私企業があえて戸籍姓にこだわるとは考え難いということです。 しかし、私は、以前、職場における旧姓使用を求める裁判の代理人を務めたことがありまして、資料五ページに抜粋しましたように、その際、裁判所は、戸籍上の氏は戸籍制度という公証制度に支えられているものであり、より高い個人の識別特定機能を有しているとして、企業側が戸籍姓に固執したとしてもそれは違法ではないとの判決を下しました。たとえ旧姓に法的根拠が与えられたとしても、企業が戸籍姓を使用するというなら、これまでどおり、それに従わざるを得ないことは変わりません。 維新案は、戸籍姓の個人識別機能を無にしようとするものであり、その御説明とは裏腹に、戸籍制度を形骸化させるものです。これに対して、選択的夫婦別氏制度は、戸籍姓の識別機能を保ち、家族や親族を一体として表すという戸籍の本質、根幹に資するもので、改正すべき法律は四つしかなく、旧姓の法制化よりも法技術的にシンプルです。 選択的夫婦別氏を求める人々の願いは、現在もほとんどの男性がそうであるように、シンプルに一つの名前で生きていきたいというもので、生来の氏をわざわざ旧姓にして、それに法的根拠を与えてほしいと願っているわけではありません。旧姓の法制化では、本名である戸籍姓を主に女性が失ってしまうという氏名権の侵害や平等権の侵害という状況は変わりません。 二〇二一年の最高裁決定において、宮崎、宇賀両裁判官も、旧姓の通称使用は、実態としては婚姻した女性にダブルネームを認めるのと同じであるところ、ダブルネームである限り、人格的利益の喪失がなかったことになるわけではないと指摘しています。 最後に、現在行っている訴訟は、夫婦同氏に価値を見出す方々を否定するものでは決してありません。ただ、法律上はどちらが改姓してもよいのに、九五%の夫婦で女性が改姓しているという、結果として男女不平等な状況が長年続いているという実態には男女の社会的、経済的格差が作用していることは、資料五ページにありますように、最高裁判決においても指摘をされているところです。 そういった中で、十日の本委員会において、布柴教授が、自分の意思で選択するということが幸福につながるという趣旨のことをおっしゃっていました。 令和四年の最高裁決定においても、渡辺裁判官が、個人が婚姻相手の氏に変更するとしても、選択的夫婦別氏制により選択の機会が与えられた上で、個人がその意思で婚姻相手の氏への変更を選択したものであるか、夫婦同氏制により氏の変更が事実上余儀なくされた結果であるかには大きな違いがあり、その個人の意思決定がその後の生き方にも影響を与えることに鑑みると、このような選択の機会を与えることこそ、個人の尊厳の尊重であると考えると述べています。 同氏にするにしても、自らの意思として前向きに選択したんだと全ての人が思えるような制度、社会へと国会議員の先生方に導いていただけましたらと思います。 ありがとうございました。(拍手)0・102
賛
参考人 寺原真希子
話し合いを行っていない夫婦が多く、男女間の格差や不平等な価値観が作用しています。最高裁で違憲意見を述べた裁判官も「自由かつ平等な協議がなされているとは言えない」と指摘しており、完全な合意とは言えません。タップで全文表示▼
○寺原参考人 弁護士の寺原と申します。 本日は、発言の機会をありがとうございます。また、今回法案を提出くださった三党の皆様には、その御尽力に心から感謝申し上げます。 私からは、最高裁判決の位置づけ、婚姻の本質と戸籍の根幹、それから旧姓の法制化では解決しないことの三点について、いずれも感情論ではなく、法的な立場から整理して申し上げたいと思います。 まず第一に、夫婦同氏制度に係る最高裁判決の位置づけですが、お手元の資料一ページにて抜粋しておりますとおり、最高裁は、選択的夫婦別氏制度の合理性を否定したものではなく、むしろ、改姓によるアイデンティティーの喪失感、男女間の実質的不平等、事実婚を選択せざるを得ない人々の存在を認定した上で、事情の変化いかんによっては違憲となる可能性にまで言及しつつ、議論の高まりを国会が受け止めるべきであると述べています。 また、資料二から三ページにまとめましたように、第一次、第二次訴訟を通して合計十名の最高裁判事が現在の夫婦同氏制度は憲法に違反すると判断しており、憲法学界においても、違憲であるとの見解が圧倒的多数説となっています。 その理由は、一言で言えば、婚姻と氏という、いずれも人にとって重要な価値を有するものの二者択一を迫るということの不合理性にあり、憲法十三条が保障する氏名権、十四条一項が保障する平等権、二十四条一項が保障する婚姻の自由や夫婦間の平等、二十四条二項が保障する個人の尊厳や両性の本質的平等がその根拠として挙げられています。 すなわち、これは人権侵害をどう解消するかという問題であって、困っている人の数が多くないとか世論が分かれているといった観点で比較考量すべき問題ではないという点を最初に強調させていただきたいと思います。 同時に、二〇二一年の内閣府による調査結果から試算しますと、別氏での婚姻希望者は約九百三十四万人となりますので、実際には少数とは言えない人数に及んでいるということも申し添えます。 第二に、婚姻の本質と戸籍の根幹について法的に整理をさせていただきますと、まず、婚姻の本質は、資料四ページにありますとおり、最高裁判例によって、両性が永続的な精神的及び肉体的結合を目的として真摯な意思をもって共同生活を営むことにあると解されています。 つまり、同氏は婚姻の本質ではありません。二〇一五年の最高裁判決においても、木内裁判官が、同氏でない婚姻をした夫婦は破綻しやすくなる、あるいは、夫婦間の子の生育がうまくいかなくなるという根拠はないと指摘しています。 同様に、夫婦、親子同氏が戸籍の根幹であるとの理解も不正確ないし誤りです。戸籍の本質、根幹は、法務省より繰り返し答弁がなされているとおり、親族的身分関係の登録、公証にあります。 そのためには同氏であることは必要不可欠ではなく、そうであるからこそ、法制審案は、同氏か別氏かにかかわらず、夫婦、親子を同じ戸籍に入れて家族として登録、公証することを優先、重視したものです。 そもそも、民法は、一九四七年の制定当初より、連れ子再婚、国際結婚など、親子別氏の家族を想定し、包含しています。親子別氏が子の福祉を害するのであれば、それを許さない制度となっているはずですが、そうはなっていません。 資料四ページに示しましたように、令和三年の最高裁決定において、宮崎、宇賀両裁判官も、子の氏とその両親の氏が同じである家族というのは、民法制度上、多様な形態を取ることが容認されている様々な家族の在り方の一つのプロトタイプ、法的強制力のないモデルにすぎない、そのプロトタイプたる家族形態において氏が家族の呼称としての意義を有するというだけで人格的利益の侵害を正当化することはできないと指摘しています。 第三に、旧姓の法制化につきましては、これまで世論調査において中身が明らかにされないまま賛否が問われてきた中で、今回、法案という形で内容を明らかにしてくださった日本維新の会の皆様には心から敬意を表します。 その上で、維新案は、ダブルネームではないとの御説明もなされているところですが、法案を拝見しますと、一人の人物に戸籍姓と旧姓という二つの法的な呼称を認めるというものですから、これはどう読んでも、法的にダブルネームを認めることにほかなりません。ですので、もし世論調査をするなら、一人の人物が二つの法的な氏名を持つことへの賛否を問う必要があると思います。 また、維新の先生の御説明では、私企業に対しては努力義務しか課せないものの、公的書類に旧姓のみが表示される中で、私企業があえて戸籍姓にこだわるとは考え難いということです。 しかし、私は、以前、職場における旧姓使用を求める裁判の代理人を務めたことがありまして、資料五ページに抜粋しましたように、その際、裁判所は、戸籍上の氏は戸籍制度という公証制度に支えられているものであり、より高い個人の識別特定機能を有しているとして、企業側が戸籍姓に固執したとしてもそれは違法ではないとの判決を下しました。たとえ旧姓に法的根拠が与えられたとしても、企業が戸籍姓を使用するというなら、これまでどおり、それに従わざるを得ないことは変わりません。 維新案は、戸籍姓の個人識別機能を無にしようとするものであり、その御説明とは裏腹に、戸籍制度を形骸化させるものです。これに対して、選択的夫婦別氏制度は、戸籍姓の識別機能を保ち、家族や親族を一体として表すという戸籍の本質、根幹に資するもので、改正すべき法律は四つしかなく、旧姓の法制化よりも法技術的にシンプルです。 選択的夫婦別氏を求める人々の願いは、現在もほとんどの男性がそうであるように、シンプルに一つの名前で生きていきたいというもので、生来の氏をわざわざ旧姓にして、それに法的根拠を与えてほしいと願っているわけではありません。旧姓の法制化では、本名である戸籍姓を主に女性が失ってしまうという氏名権の侵害や平等権の侵害という状況は変わりません。 二〇二一年の最高裁決定において、宮崎、宇賀両裁判官も、旧姓の通称使用は、実態としては婚姻した女性にダブルネームを認めるのと同じであるところ、ダブルネームである限り、人格的利益の喪失がなかったことになるわけではないと指摘しています。 最後に、現在行っている訴訟は、夫婦同氏に価値を見出す方々を否定するものでは決してありません。ただ、法律上はどちらが改姓してもよいのに、九五%の夫婦で女性が改姓しているという、結果として男女不平等な状況が長年続いているという実態には男女の社会的、経済的格差が作用していることは、資料五ページにありますように、最高裁判決においても指摘をされているところです。 そういった中で、十日の本委員会において、布柴教授が、自分の意思で選択するということが幸福につながるという趣旨のことをおっしゃっていました。 令和四年の最高裁決定においても、渡辺裁判官が、個人が婚姻相手の氏に変更するとしても、選択的夫婦別氏制により選択の機会が与えられた上で、個人がその意思で婚姻相手の氏への変更を選択したものであるか、夫婦同氏制により氏の変更が事実上余儀なくされた結果であるかには大きな違いがあり、その個人の意思決定がその後の生き方にも影響を与えることに鑑みると、このような選択の機会を与えることこそ、個人の尊厳の尊重であると考えると述べています。 同氏にするにしても、自らの意思として前向きに選択したんだと全ての人が思えるような制度、社会へと国会議員の先生方に導いていただけましたらと思います。 ありがとうございました。(拍手)1・103
賛
日本共産党 本村伸子
井田参考人。日本のジェンダーギャップ指数の低さという問題について、どうお考えですか?タップで全文表示▼
○寺原参考人 弁護士の寺原と申します。 本日は、発言の機会をありがとうございます。また、今回法案を提出くださった三党の皆様には、その御尽力に心から感謝申し上げます。 私からは、最高裁判決の位置づけ、婚姻の本質と戸籍の根幹、それから旧姓の法制化では解決しないことの三点について、いずれも感情論ではなく、法的な立場から整理して申し上げたいと思います。 まず第一に、夫婦同氏制度に係る最高裁判決の位置づけですが、お手元の資料一ページにて抜粋しておりますとおり、最高裁は、選択的夫婦別氏制度の合理性を否定したものではなく、むしろ、改姓によるアイデンティティーの喪失感、男女間の実質的不平等、事実婚を選択せざるを得ない人々の存在を認定した上で、事情の変化いかんによっては違憲となる可能性にまで言及しつつ、議論の高まりを国会が受け止めるべきであると述べています。 また、資料二から三ページにまとめましたように、第一次、第二次訴訟を通して合計十名の最高裁判事が現在の夫婦同氏制度は憲法に違反すると判断しており、憲法学界においても、違憲であるとの見解が圧倒的多数説となっています。 その理由は、一言で言えば、婚姻と氏という、いずれも人にとって重要な価値を有するものの二者択一を迫るということの不合理性にあり、憲法十三条が保障する氏名権、十四条一項が保障する平等権、二十四条一項が保障する婚姻の自由や夫婦間の平等、二十四条二項が保障する個人の尊厳や両性の本質的平等がその根拠として挙げられています。 すなわち、これは人権侵害をどう解消するかという問題であって、困っている人の数が多くないとか世論が分かれているといった観点で比較考量すべき問題ではないという点を最初に強調させていただきたいと思います。 同時に、二〇二一年の内閣府による調査結果から試算しますと、別氏での婚姻希望者は約九百三十四万人となりますので、実際には少数とは言えない人数に及んでいるということも申し添えます。 第二に、婚姻の本質と戸籍の根幹について法的に整理をさせていただきますと、まず、婚姻の本質は、資料四ページにありますとおり、最高裁判例によって、両性が永続的な精神的及び肉体的結合を目的として真摯な意思をもって共同生活を営むことにあると解されています。 つまり、同氏は婚姻の本質ではありません。二〇一五年の最高裁判決においても、木内裁判官が、同氏でない婚姻をした夫婦は破綻しやすくなる、あるいは、夫婦間の子の生育がうまくいかなくなるという根拠はないと指摘しています。 同様に、夫婦、親子同氏が戸籍の根幹であるとの理解も不正確ないし誤りです。戸籍の本質、根幹は、法務省より繰り返し答弁がなされているとおり、親族的身分関係の登録、公証にあります。 そのためには同氏であることは必要不可欠ではなく、そうであるからこそ、法制審案は、同氏か別氏かにかかわらず、夫婦、親子を同じ戸籍に入れて家族として登録、公証することを優先、重視したものです。 そもそも、民法は、一九四七年の制定当初より、連れ子再婚、国際結婚など、親子別氏の家族を想定し、包含しています。親子別氏が子の福祉を害するのであれば、それを許さない制度となっているはずですが、そうはなっていません。 資料四ページに示しましたように、令和三年の最高裁決定において、宮崎、宇賀両裁判官も、子の氏とその両親の氏が同じである家族というのは、民法制度上、多様な形態を取ることが容認されている様々な家族の在り方の一つのプロトタイプ、法的強制力のないモデルにすぎない、そのプロトタイプたる家族形態において氏が家族の呼称としての意義を有するというだけで人格的利益の侵害を正当化することはできないと指摘しています。 第三に、旧姓の法制化につきましては、これまで世論調査において中身が明らかにされないまま賛否が問われてきた中で、今回、法案という形で内容を明らかにしてくださった日本維新の会の皆様には心から敬意を表します。 その上で、維新案は、ダブルネームではないとの御説明もなされているところですが、法案を拝見しますと、一人の人物に戸籍姓と旧姓という二つの法的な呼称を認めるというものですから、これはどう読んでも、法的にダブルネームを認めることにほかなりません。ですので、もし世論調査をするなら、一人の人物が二つの法的な氏名を持つことへの賛否を問う必要があると思います。 また、維新の先生の御説明では、私企業に対しては努力義務しか課せないものの、公的書類に旧姓のみが表示される中で、私企業があえて戸籍姓にこだわるとは考え難いということです。 しかし、私は、以前、職場における旧姓使用を求める裁判の代理人を務めたことがありまして、資料五ページに抜粋しましたように、その際、裁判所は、戸籍上の氏は戸籍制度という公証制度に支えられているものであり、より高い個人の識別特定機能を有しているとして、企業側が戸籍姓に固執したとしてもそれは違法ではないとの判決を下しました。たとえ旧姓に法的根拠が与えられたとしても、企業が戸籍姓を使用するというなら、これまでどおり、それに従わざるを得ないことは変わりません。 維新案は、戸籍姓の個人識別機能を無にしようとするものであり、その御説明とは裏腹に、戸籍制度を形骸化させるものです。これに対して、選択的夫婦別氏制度は、戸籍姓の識別機能を保ち、家族や親族を一体として表すという戸籍の本質、根幹に資するもので、改正すべき法律は四つしかなく、旧姓の法制化よりも法技術的にシンプルです。 選択的夫婦別氏を求める人々の願いは、現在もほとんどの男性がそうであるように、シンプルに一つの名前で生きていきたいというもので、生来の氏をわざわざ旧姓にして、それに法的根拠を与えてほしいと願っているわけではありません。旧姓の法制化では、本名である戸籍姓を主に女性が失ってしまうという氏名権の侵害や平等権の侵害という状況は変わりません。 二〇二一年の最高裁決定において、宮崎、宇賀両裁判官も、旧姓の通称使用は、実態としては婚姻した女性にダブルネームを認めるのと同じであるところ、ダブルネームである限り、人格的利益の喪失がなかったことになるわけではないと指摘しています。 最後に、現在行っている訴訟は、夫婦同氏に価値を見出す方々を否定するものでは決してありません。ただ、法律上はどちらが改姓してもよいのに、九五%の夫婦で女性が改姓しているという、結果として男女不平等な状況が長年続いているという実態には男女の社会的、経済的格差が作用していることは、資料五ページにありますように、最高裁判決においても指摘をされているところです。 そういった中で、十日の本委員会において、布柴教授が、自分の意思で選択するということが幸福につながるという趣旨のことをおっしゃっていました。 令和四年の最高裁決定においても、渡辺裁判官が、個人が婚姻相手の氏に変更するとしても、選択的夫婦別氏制により選択の機会が与えられた上で、個人がその意思で婚姻相手の氏への変更を選択したものであるか、夫婦同氏制により氏の変更が事実上余儀なくされた結果であるかには大きな違いがあり、その個人の意思決定がその後の生き方にも影響を与えることに鑑みると、このような選択の機会を与えることこそ、個人の尊厳の尊重であると考えると述べています。 同氏にするにしても、自らの意思として前向きに選択したんだと全ての人が思えるような制度、社会へと国会議員の先生方に導いていただけましたらと思います。 ありがとうございました。(拍手)4
賛
参考人 井田奈穂
望まない改姓が女性活躍の大きな足かせとなっています!フルスペックで自分の氏名を名のる権利を認めるべきです。タップで全文表示▼
○寺原参考人 弁護士の寺原と申します。 本日は、発言の機会をありがとうございます。また、今回法案を提出くださった三党の皆様には、その御尽力に心から感謝申し上げます。 私からは、最高裁判決の位置づけ、婚姻の本質と戸籍の根幹、それから旧姓の法制化では解決しないことの三点について、いずれも感情論ではなく、法的な立場から整理して申し上げたいと思います。 まず第一に、夫婦同氏制度に係る最高裁判決の位置づけですが、お手元の資料一ページにて抜粋しておりますとおり、最高裁は、選択的夫婦別氏制度の合理性を否定したものではなく、むしろ、改姓によるアイデンティティーの喪失感、男女間の実質的不平等、事実婚を選択せざるを得ない人々の存在を認定した上で、事情の変化いかんによっては違憲となる可能性にまで言及しつつ、議論の高まりを国会が受け止めるべきであると述べています。 また、資料二から三ページにまとめましたように、第一次、第二次訴訟を通して合計十名の最高裁判事が現在の夫婦同氏制度は憲法に違反すると判断しており、憲法学界においても、違憲であるとの見解が圧倒的多数説となっています。 その理由は、一言で言えば、婚姻と氏という、いずれも人にとって重要な価値を有するものの二者択一を迫るということの不合理性にあり、憲法十三条が保障する氏名権、十四条一項が保障する平等権、二十四条一項が保障する婚姻の自由や夫婦間の平等、二十四条二項が保障する個人の尊厳や両性の本質的平等がその根拠として挙げられています。 すなわち、これは人権侵害をどう解消するかという問題であって、困っている人の数が多くないとか世論が分かれているといった観点で比較考量すべき問題ではないという点を最初に強調させていただきたいと思います。 同時に、二〇二一年の内閣府による調査結果から試算しますと、別氏での婚姻希望者は約九百三十四万人となりますので、実際には少数とは言えない人数に及んでいるということも申し添えます。 第二に、婚姻の本質と戸籍の根幹について法的に整理をさせていただきますと、まず、婚姻の本質は、資料四ページにありますとおり、最高裁判例によって、両性が永続的な精神的及び肉体的結合を目的として真摯な意思をもって共同生活を営むことにあると解されています。 つまり、同氏は婚姻の本質ではありません。二〇一五年の最高裁判決においても、木内裁判官が、同氏でない婚姻をした夫婦は破綻しやすくなる、あるいは、夫婦間の子の生育がうまくいかなくなるという根拠はないと指摘しています。 同様に、夫婦、親子同氏が戸籍の根幹であるとの理解も不正確ないし誤りです。戸籍の本質、根幹は、法務省より繰り返し答弁がなされているとおり、親族的身分関係の登録、公証にあります。 そのためには同氏であることは必要不可欠ではなく、そうであるからこそ、法制審案は、同氏か別氏かにかかわらず、夫婦、親子を同じ戸籍に入れて家族として登録、公証することを優先、重視したものです。 そもそも、民法は、一九四七年の制定当初より、連れ子再婚、国際結婚など、親子別氏の家族を想定し、包含しています。親子別氏が子の福祉を害するのであれば、それを許さない制度となっているはずですが、そうはなっていません。 資料四ページに示しましたように、令和三年の最高裁決定において、宮崎、宇賀両裁判官も、子の氏とその両親の氏が同じである家族というのは、民法制度上、多様な形態を取ることが容認されている様々な家族の在り方の一つのプロトタイプ、法的強制力のないモデルにすぎない、そのプロトタイプたる家族形態において氏が家族の呼称としての意義を有するというだけで人格的利益の侵害を正当化することはできないと指摘しています。 第三に、旧姓の法制化につきましては、これまで世論調査において中身が明らかにされないまま賛否が問われてきた中で、今回、法案という形で内容を明らかにしてくださった日本維新の会の皆様には心から敬意を表します。 その上で、維新案は、ダブルネームではないとの御説明もなされているところですが、法案を拝見しますと、一人の人物に戸籍姓と旧姓という二つの法的な呼称を認めるというものですから、これはどう読んでも、法的にダブルネームを認めることにほかなりません。ですので、もし世論調査をするなら、一人の人物が二つの法的な氏名を持つことへの賛否を問う必要があると思います。 また、維新の先生の御説明では、私企業に対しては努力義務しか課せないものの、公的書類に旧姓のみが表示される中で、私企業があえて戸籍姓にこだわるとは考え難いということです。 しかし、私は、以前、職場における旧姓使用を求める裁判の代理人を務めたことがありまして、資料五ページに抜粋しましたように、その際、裁判所は、戸籍上の氏は戸籍制度という公証制度に支えられているものであり、より高い個人の識別特定機能を有しているとして、企業側が戸籍姓に固執したとしてもそれは違法ではないとの判決を下しました。たとえ旧姓に法的根拠が与えられたとしても、企業が戸籍姓を使用するというなら、これまでどおり、それに従わざるを得ないことは変わりません。 維新案は、戸籍姓の個人識別機能を無にしようとするものであり、その御説明とは裏腹に、戸籍制度を形骸化させるものです。これに対して、選択的夫婦別氏制度は、戸籍姓の識別機能を保ち、家族や親族を一体として表すという戸籍の本質、根幹に資するもので、改正すべき法律は四つしかなく、旧姓の法制化よりも法技術的にシンプルです。 選択的夫婦別氏を求める人々の願いは、現在もほとんどの男性がそうであるように、シンプルに一つの名前で生きていきたいというもので、生来の氏をわざわざ旧姓にして、それに法的根拠を与えてほしいと願っているわけではありません。旧姓の法制化では、本名である戸籍姓を主に女性が失ってしまうという氏名権の侵害や平等権の侵害という状況は変わりません。 二〇二一年の最高裁決定において、宮崎、宇賀両裁判官も、旧姓の通称使用は、実態としては婚姻した女性にダブルネームを認めるのと同じであるところ、ダブルネームである限り、人格的利益の喪失がなかったことになるわけではないと指摘しています。 最後に、現在行っている訴訟は、夫婦同氏に価値を見出す方々を否定するものでは決してありません。ただ、法律上はどちらが改姓してもよいのに、九五%の夫婦で女性が改姓しているという、結果として男女不平等な状況が長年続いているという実態には男女の社会的、経済的格差が作用していることは、資料五ページにありますように、最高裁判決においても指摘をされているところです。 そういった中で、十日の本委員会において、布柴教授が、自分の意思で選択するということが幸福につながるという趣旨のことをおっしゃっていました。 令和四年の最高裁決定においても、渡辺裁判官が、個人が婚姻相手の氏に変更するとしても、選択的夫婦別氏制により選択の機会が与えられた上で、個人がその意思で婚姻相手の氏への変更を選択したものであるか、夫婦同氏制により氏の変更が事実上余儀なくされた結果であるかには大きな違いがあり、その個人の意思決定がその後の生き方にも影響を与えることに鑑みると、このような選択の機会を与えることこそ、個人の尊厳の尊重であると考えると述べています。 同氏にするにしても、自らの意思として前向きに選択したんだと全ての人が思えるような制度、社会へと国会議員の先生方に導いていただけましたらと思います。 ありがとうございました。(拍手)5
西村智奈美 委員長
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○寺原参考人 弁護士の寺原と申します。 本日は、発言の機会をありがとうございます。また、今回法案を提出くださった三党の皆様には、その御尽力に心から感謝申し上げます。 私からは、最高裁判決の位置づけ、婚姻の本質と戸籍の根幹、それから旧姓の法制化では解決しないことの三点について、いずれも感情論ではなく、法的な立場から整理して申し上げたいと思います。 まず第一に、夫婦同氏制度に係る最高裁判決の位置づけですが、お手元の資料一ページにて抜粋しておりますとおり、最高裁は、選択的夫婦別氏制度の合理性を否定したものではなく、むしろ、改姓によるアイデンティティーの喪失感、男女間の実質的不平等、事実婚を選択せざるを得ない人々の存在を認定した上で、事情の変化いかんによっては違憲となる可能性にまで言及しつつ、議論の高まりを国会が受け止めるべきであると述べています。 また、資料二から三ページにまとめましたように、第一次、第二次訴訟を通して合計十名の最高裁判事が現在の夫婦同氏制度は憲法に違反すると判断しており、憲法学界においても、違憲であるとの見解が圧倒的多数説となっています。 その理由は、一言で言えば、婚姻と氏という、いずれも人にとって重要な価値を有するものの二者択一を迫るということの不合理性にあり、憲法十三条が保障する氏名権、十四条一項が保障する平等権、二十四条一項が保障する婚姻の自由や夫婦間の平等、二十四条二項が保障する個人の尊厳や両性の本質的平等がその根拠として挙げられています。 すなわち、これは人権侵害をどう解消するかという問題であって、困っている人の数が多くないとか世論が分かれているといった観点で比較考量すべき問題ではないという点を最初に強調させていただきたいと思います。 同時に、二〇二一年の内閣府による調査結果から試算しますと、別氏での婚姻希望者は約九百三十四万人となりますので、実際には少数とは言えない人数に及んでいるということも申し添えます。 第二に、婚姻の本質と戸籍の根幹について法的に整理をさせていただきますと、まず、婚姻の本質は、資料四ページにありますとおり、最高裁判例によって、両性が永続的な精神的及び肉体的結合を目的として真摯な意思をもって共同生活を営むことにあると解されています。 つまり、同氏は婚姻の本質ではありません。二〇一五年の最高裁判決においても、木内裁判官が、同氏でない婚姻をした夫婦は破綻しやすくなる、あるいは、夫婦間の子の生育がうまくいかなくなるという根拠はないと指摘しています。 同様に、夫婦、親子同氏が戸籍の根幹であるとの理解も不正確ないし誤りです。戸籍の本質、根幹は、法務省より繰り返し答弁がなされているとおり、親族的身分関係の登録、公証にあります。 そのためには同氏であることは必要不可欠ではなく、そうであるからこそ、法制審案は、同氏か別氏かにかかわらず、夫婦、親子を同じ戸籍に入れて家族として登録、公証することを優先、重視したものです。 そもそも、民法は、一九四七年の制定当初より、連れ子再婚、国際結婚など、親子別氏の家族を想定し、包含しています。親子別氏が子の福祉を害するのであれば、それを許さない制度となっているはずですが、そうはなっていません。 資料四ページに示しましたように、令和三年の最高裁決定において、宮崎、宇賀両裁判官も、子の氏とその両親の氏が同じである家族というのは、民法制度上、多様な形態を取ることが容認されている様々な家族の在り方の一つのプロトタイプ、法的強制力のないモデルにすぎない、そのプロトタイプたる家族形態において氏が家族の呼称としての意義を有するというだけで人格的利益の侵害を正当化することはできないと指摘しています。 第三に、旧姓の法制化につきましては、これまで世論調査において中身が明らかにされないまま賛否が問われてきた中で、今回、法案という形で内容を明らかにしてくださった日本維新の会の皆様には心から敬意を表します。 その上で、維新案は、ダブルネームではないとの御説明もなされているところですが、法案を拝見しますと、一人の人物に戸籍姓と旧姓という二つの法的な呼称を認めるというものですから、これはどう読んでも、法的にダブルネームを認めることにほかなりません。ですので、もし世論調査をするなら、一人の人物が二つの法的な氏名を持つことへの賛否を問う必要があると思います。 また、維新の先生の御説明では、私企業に対しては努力義務しか課せないものの、公的書類に旧姓のみが表示される中で、私企業があえて戸籍姓にこだわるとは考え難いということです。 しかし、私は、以前、職場における旧姓使用を求める裁判の代理人を務めたことがありまして、資料五ページに抜粋しましたように、その際、裁判所は、戸籍上の氏は戸籍制度という公証制度に支えられているものであり、より高い個人の識別特定機能を有しているとして、企業側が戸籍姓に固執したとしてもそれは違法ではないとの判決を下しました。たとえ旧姓に法的根拠が与えられたとしても、企業が戸籍姓を使用するというなら、これまでどおり、それに従わざるを得ないことは変わりません。 維新案は、戸籍姓の個人識別機能を無にしようとするものであり、その御説明とは裏腹に、戸籍制度を形骸化させるものです。これに対して、選択的夫婦別氏制度は、戸籍姓の識別機能を保ち、家族や親族を一体として表すという戸籍の本質、根幹に資するもので、改正すべき法律は四つしかなく、旧姓の法制化よりも法技術的にシンプルです。 選択的夫婦別氏を求める人々の願いは、現在もほとんどの男性がそうであるように、シンプルに一つの名前で生きていきたいというもので、生来の氏をわざわざ旧姓にして、それに法的根拠を与えてほしいと願っているわけではありません。旧姓の法制化では、本名である戸籍姓を主に女性が失ってしまうという氏名権の侵害や平等権の侵害という状況は変わりません。 二〇二一年の最高裁決定において、宮崎、宇賀両裁判官も、旧姓の通称使用は、実態としては婚姻した女性にダブルネームを認めるのと同じであるところ、ダブルネームである限り、人格的利益の喪失がなかったことになるわけではないと指摘しています。 最後に、現在行っている訴訟は、夫婦同氏に価値を見出す方々を否定するものでは決してありません。ただ、法律上はどちらが改姓してもよいのに、九五%の夫婦で女性が改姓しているという、結果として男女不平等な状況が長年続いているという実態には男女の社会的、経済的格差が作用していることは、資料五ページにありますように、最高裁判決においても指摘をされているところです。 そういった中で、十日の本委員会において、布柴教授が、自分の意思で選択するということが幸福につながるという趣旨のことをおっしゃっていました。 令和四年の最高裁決定においても、渡辺裁判官が、個人が婚姻相手の氏に変更するとしても、選択的夫婦別氏制により選択の機会が与えられた上で、個人がその意思で婚姻相手の氏への変更を選択したものであるか、夫婦同氏制により氏の変更が事実上余儀なくされた結果であるかには大きな違いがあり、その個人の意思決定がその後の生き方にも影響を与えることに鑑みると、このような選択の機会を与えることこそ、個人の尊厳の尊重であると考えると述べています。 同氏にするにしても、自らの意思として前向きに選択したんだと全ての人が思えるような制度、社会へと国会議員の先生方に導いていただけましたらと思います。 ありがとうございました。(拍手)6
賛
日本共産党 本村伸子
貴重なご意見をありがとうございました。質問を終わります。タップで全文表示▼
○寺原参考人 弁護士の寺原と申します。 本日は、発言の機会をありがとうございます。また、今回法案を提出くださった三党の皆様には、その御尽力に心から感謝申し上げます。 私からは、最高裁判決の位置づけ、婚姻の本質と戸籍の根幹、それから旧姓の法制化では解決しないことの三点について、いずれも感情論ではなく、法的な立場から整理して申し上げたいと思います。 まず第一に、夫婦同氏制度に係る最高裁判決の位置づけですが、お手元の資料一ページにて抜粋しておりますとおり、最高裁は、選択的夫婦別氏制度の合理性を否定したものではなく、むしろ、改姓によるアイデンティティーの喪失感、男女間の実質的不平等、事実婚を選択せざるを得ない人々の存在を認定した上で、事情の変化いかんによっては違憲となる可能性にまで言及しつつ、議論の高まりを国会が受け止めるべきであると述べています。 また、資料二から三ページにまとめましたように、第一次、第二次訴訟を通して合計十名の最高裁判事が現在の夫婦同氏制度は憲法に違反すると判断しており、憲法学界においても、違憲であるとの見解が圧倒的多数説となっています。 その理由は、一言で言えば、婚姻と氏という、いずれも人にとって重要な価値を有するものの二者択一を迫るということの不合理性にあり、憲法十三条が保障する氏名権、十四条一項が保障する平等権、二十四条一項が保障する婚姻の自由や夫婦間の平等、二十四条二項が保障する個人の尊厳や両性の本質的平等がその根拠として挙げられています。 すなわち、これは人権侵害をどう解消するかという問題であって、困っている人の数が多くないとか世論が分かれているといった観点で比較考量すべき問題ではないという点を最初に強調させていただきたいと思います。 同時に、二〇二一年の内閣府による調査結果から試算しますと、別氏での婚姻希望者は約九百三十四万人となりますので、実際には少数とは言えない人数に及んでいるということも申し添えます。 第二に、婚姻の本質と戸籍の根幹について法的に整理をさせていただきますと、まず、婚姻の本質は、資料四ページにありますとおり、最高裁判例によって、両性が永続的な精神的及び肉体的結合を目的として真摯な意思をもって共同生活を営むことにあると解されています。 つまり、同氏は婚姻の本質ではありません。二〇一五年の最高裁判決においても、木内裁判官が、同氏でない婚姻をした夫婦は破綻しやすくなる、あるいは、夫婦間の子の生育がうまくいかなくなるという根拠はないと指摘しています。 同様に、夫婦、親子同氏が戸籍の根幹であるとの理解も不正確ないし誤りです。戸籍の本質、根幹は、法務省より繰り返し答弁がなされているとおり、親族的身分関係の登録、公証にあります。 そのためには同氏であることは必要不可欠ではなく、そうであるからこそ、法制審案は、同氏か別氏かにかかわらず、夫婦、親子を同じ戸籍に入れて家族として登録、公証することを優先、重視したものです。 そもそも、民法は、一九四七年の制定当初より、連れ子再婚、国際結婚など、親子別氏の家族を想定し、包含しています。親子別氏が子の福祉を害するのであれば、それを許さない制度となっているはずですが、そうはなっていません。 資料四ページに示しましたように、令和三年の最高裁決定において、宮崎、宇賀両裁判官も、子の氏とその両親の氏が同じである家族というのは、民法制度上、多様な形態を取ることが容認されている様々な家族の在り方の一つのプロトタイプ、法的強制力のないモデルにすぎない、そのプロトタイプたる家族形態において氏が家族の呼称としての意義を有するというだけで人格的利益の侵害を正当化することはできないと指摘しています。 第三に、旧姓の法制化につきましては、これまで世論調査において中身が明らかにされないまま賛否が問われてきた中で、今回、法案という形で内容を明らかにしてくださった日本維新の会の皆様には心から敬意を表します。 その上で、維新案は、ダブルネームではないとの御説明もなされているところですが、法案を拝見しますと、一人の人物に戸籍姓と旧姓という二つの法的な呼称を認めるというものですから、これはどう読んでも、法的にダブルネームを認めることにほかなりません。ですので、もし世論調査をするなら、一人の人物が二つの法的な氏名を持つことへの賛否を問う必要があると思います。 また、維新の先生の御説明では、私企業に対しては努力義務しか課せないものの、公的書類に旧姓のみが表示される中で、私企業があえて戸籍姓にこだわるとは考え難いということです。 しかし、私は、以前、職場における旧姓使用を求める裁判の代理人を務めたことがありまして、資料五ページに抜粋しましたように、その際、裁判所は、戸籍上の氏は戸籍制度という公証制度に支えられているものであり、より高い個人の識別特定機能を有しているとして、企業側が戸籍姓に固執したとしてもそれは違法ではないとの判決を下しました。たとえ旧姓に法的根拠が与えられたとしても、企業が戸籍姓を使用するというなら、これまでどおり、それに従わざるを得ないことは変わりません。 維新案は、戸籍姓の個人識別機能を無にしようとするものであり、その御説明とは裏腹に、戸籍制度を形骸化させるものです。これに対して、選択的夫婦別氏制度は、戸籍姓の識別機能を保ち、家族や親族を一体として表すという戸籍の本質、根幹に資するもので、改正すべき法律は四つしかなく、旧姓の法制化よりも法技術的にシンプルです。 選択的夫婦別氏を求める人々の願いは、現在もほとんどの男性がそうであるように、シンプルに一つの名前で生きていきたいというもので、生来の氏をわざわざ旧姓にして、それに法的根拠を与えてほしいと願っているわけではありません。旧姓の法制化では、本名である戸籍姓を主に女性が失ってしまうという氏名権の侵害や平等権の侵害という状況は変わりません。 二〇二一年の最高裁決定において、宮崎、宇賀両裁判官も、旧姓の通称使用は、実態としては婚姻した女性にダブルネームを認めるのと同じであるところ、ダブルネームである限り、人格的利益の喪失がなかったことになるわけではないと指摘しています。 最後に、現在行っている訴訟は、夫婦同氏に価値を見出す方々を否定するものでは決してありません。ただ、法律上はどちらが改姓してもよいのに、九五%の夫婦で女性が改姓しているという、結果として男女不平等な状況が長年続いているという実態には男女の社会的、経済的格差が作用していることは、資料五ページにありますように、最高裁判決においても指摘をされているところです。 そういった中で、十日の本委員会において、布柴教授が、自分の意思で選択するということが幸福につながるという趣旨のことをおっしゃっていました。 令和四年の最高裁決定においても、渡辺裁判官が、個人が婚姻相手の氏に変更するとしても、選択的夫婦別氏制により選択の機会が与えられた上で、個人がその意思で婚姻相手の氏への変更を選択したものであるか、夫婦同氏制により氏の変更が事実上余儀なくされた結果であるかには大きな違いがあり、その個人の意思決定がその後の生き方にも影響を与えることに鑑みると、このような選択の機会を与えることこそ、個人の尊厳の尊重であると考えると述べています。 同氏にするにしても、自らの意思として前向きに選択したんだと全ての人が思えるような制度、社会へと国会議員の先生方に導いていただけましたらと思います。 ありがとうございました。(拍手)7

えぐっ…今の日本の現状、対等に話し合えない「完全な合意」じゃない改姓がたくさんあるなんて…。私の存在が、女性の活躍の足かせを外す鍵になるのかな…!
西村智奈美 委員長
次に、吉川里奈さんを指名します。タップで全文表示▼
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○寺原参考人 弁護士の寺原と申します。 本日は、発言の機会をありがとうございます。また、今回法案を提出くださった三党の皆様には、その御尽力に心から感謝申し上げます。 私からは、最高裁判決の位置づけ、婚姻の本質と戸籍の根幹、それから旧姓の法制化では解決しないことの三点について、いずれも感情論ではなく、法的な立場から整理して申し上げたいと思います。 まず第一に、夫婦同氏制度に係る最高裁判決の位置づけですが、お手元の資料一ページにて抜粋しておりますとおり、最高裁は、選択的夫婦別氏制度の合理性を否定したものではなく、むしろ、改姓によるアイデンティティーの喪失感、男女間の実質的不平等、事実婚を選択せざるを得ない人々の存在を認定した上で、事情の変化いかんによっては違憲となる可能性にまで言及しつつ、議論の高まりを国会が受け止めるべきであると述べています。 また、資料二から三ページにまとめましたように、第一次、第二次訴訟を通して合計十名の最高裁判事が現在の夫婦同氏制度は憲法に違反すると判断しており、憲法学界においても、違憲であるとの見解が圧倒的多数説となっています。 その理由は、一言で言えば、婚姻と氏という、いずれも人にとって重要な価値を有するものの二者択一を迫るということの不合理性にあり、憲法十三条が保障する氏名権、十四条一項が保障する平等権、二十四条一項が保障する婚姻の自由や夫婦間の平等、二十四条二項が保障する個人の尊厳や両性の本質的平等がその根拠として挙げられています。 すなわち、これは人権侵害をどう解消するかという問題であって、困っている人の数が多くないとか世論が分かれているといった観点で比較考量すべき問題ではないという点を最初に強調させていただきたいと思います。 同時に、二〇二一年の内閣府による調査結果から試算しますと、別氏での婚姻希望者は約九百三十四万人となりますので、実際には少数とは言えない人数に及んでいるということも申し添えます。 第二に、婚姻の本質と戸籍の根幹について法的に整理をさせていただきますと、まず、婚姻の本質は、資料四ページにありますとおり、最高裁判例によって、両性が永続的な精神的及び肉体的結合を目的として真摯な意思をもって共同生活を営むことにあると解されています。 つまり、同氏は婚姻の本質ではありません。二〇一五年の最高裁判決においても、木内裁判官が、同氏でない婚姻をした夫婦は破綻しやすくなる、あるいは、夫婦間の子の生育がうまくいかなくなるという根拠はないと指摘しています。 同様に、夫婦、親子同氏が戸籍の根幹であるとの理解も不正確ないし誤りです。戸籍の本質、根幹は、法務省より繰り返し答弁がなされているとおり、親族的身分関係の登録、公証にあります。 そのためには同氏であることは必要不可欠ではなく、そうであるからこそ、法制審案は、同氏か別氏かにかかわらず、夫婦、親子を同じ戸籍に入れて家族として登録、公証することを優先、重視したものです。 そもそも、民法は、一九四七年の制定当初より、連れ子再婚、国際結婚など、親子別氏の家族を想定し、包含しています。親子別氏が子の福祉を害するのであれば、それを許さない制度となっているはずですが、そうはなっていません。 資料四ページに示しましたように、令和三年の最高裁決定において、宮崎、宇賀両裁判官も、子の氏とその両親の氏が同じである家族というのは、民法制度上、多様な形態を取ることが容認されている様々な家族の在り方の一つのプロトタイプ、法的強制力のないモデルにすぎない、そのプロトタイプたる家族形態において氏が家族の呼称としての意義を有するというだけで人格的利益の侵害を正当化することはできないと指摘しています。 第三に、旧姓の法制化につきましては、これまで世論調査において中身が明らかにされないまま賛否が問われてきた中で、今回、法案という形で内容を明らかにしてくださった日本維新の会の皆様には心から敬意を表します。 その上で、維新案は、ダブルネームではないとの御説明もなされているところですが、法案を拝見しますと、一人の人物に戸籍姓と旧姓という二つの法的な呼称を認めるというものですから、これはどう読んでも、法的にダブルネームを認めることにほかなりません。ですので、もし世論調査をするなら、一人の人物が二つの法的な氏名を持つことへの賛否を問う必要があると思います。 また、維新の先生の御説明では、私企業に対しては努力義務しか課せないものの、公的書類に旧姓のみが表示される中で、私企業があえて戸籍姓にこだわるとは考え難いということです。 しかし、私は、以前、職場における旧姓使用を求める裁判の代理人を務めたことがありまして、資料五ページに抜粋しましたように、その際、裁判所は、戸籍上の氏は戸籍制度という公証制度に支えられているものであり、より高い個人の識別特定機能を有しているとして、企業側が戸籍姓に固執したとしてもそれは違法ではないとの判決を下しました。たとえ旧姓に法的根拠が与えられたとしても、企業が戸籍姓を使用するというなら、これまでどおり、それに従わざるを得ないことは変わりません。 維新案は、戸籍姓の個人識別機能を無にしようとするものであり、その御説明とは裏腹に、戸籍制度を形骸化させるものです。これに対して、選択的夫婦別氏制度は、戸籍姓の識別機能を保ち、家族や親族を一体として表すという戸籍の本質、根幹に資するもので、改正すべき法律は四つしかなく、旧姓の法制化よりも法技術的にシンプルです。 選択的夫婦別氏を求める人々の願いは、現在もほとんどの男性がそうであるように、シンプルに一つの名前で生きていきたいというもので、生来の氏をわざわざ旧姓にして、それに法的根拠を与えてほしいと願っているわけではありません。旧姓の法制化では、本名である戸籍姓を主に女性が失ってしまうという氏名権の侵害や平等権の侵害という状況は変わりません。 二〇二一年の最高裁決定において、宮崎、宇賀両裁判官も、旧姓の通称使用は、実態としては婚姻した女性にダブルネームを認めるのと同じであるところ、ダブルネームである限り、人格的利益の喪失がなかったことになるわけではないと指摘しています。 最後に、現在行っている訴訟は、夫婦同氏に価値を見出す方々を否定するものでは決してありません。ただ、法律上はどちらが改姓してもよいのに、九五%の夫婦で女性が改姓しているという、結果として男女不平等な状況が長年続いているという実態には男女の社会的、経済的格差が作用していることは、資料五ページにありますように、最高裁判決においても指摘をされているところです。 そういった中で、十日の本委員会において、布柴教授が、自分の意思で選択するということが幸福につながるという趣旨のことをおっしゃっていました。 令和四年の最高裁決定においても、渡辺裁判官が、個人が婚姻相手の氏に変更するとしても、選択的夫婦別氏制により選択の機会が与えられた上で、個人がその意思で婚姻相手の氏への変更を選択したものであるか、夫婦同氏制により氏の変更が事実上余儀なくされた結果であるかには大きな違いがあり、その個人の意思決定がその後の生き方にも影響を与えることに鑑みると、このような選択の機会を与えることこそ、個人の尊厳の尊重であると考えると述べています。 同氏にするにしても、自らの意思として前向きに選択したんだと全ての人が思えるような制度、社会へと国会議員の先生方に導いていただけましたらと思います。 ありがとうございました。(拍手)8
反
参政党 吉川里奈
八木参考人に伺います。戸籍や筆頭者はファミリーネームや家族の一体感を象徴する仕組みとして根付いてきた面があると思いますが、いかがですか?タップで全文表示▼
○寺原参考人 弁護士の寺原と申します。 本日は、発言の機会をありがとうございます。また、今回法案を提出くださった三党の皆様には、その御尽力に心から感謝申し上げます。 私からは、最高裁判決の位置づけ、婚姻の本質と戸籍の根幹、それから旧姓の法制化では解決しないことの三点について、いずれも感情論ではなく、法的な立場から整理して申し上げたいと思います。 まず第一に、夫婦同氏制度に係る最高裁判決の位置づけですが、お手元の資料一ページにて抜粋しておりますとおり、最高裁は、選択的夫婦別氏制度の合理性を否定したものではなく、むしろ、改姓によるアイデンティティーの喪失感、男女間の実質的不平等、事実婚を選択せざるを得ない人々の存在を認定した上で、事情の変化いかんによっては違憲となる可能性にまで言及しつつ、議論の高まりを国会が受け止めるべきであると述べています。 また、資料二から三ページにまとめましたように、第一次、第二次訴訟を通して合計十名の最高裁判事が現在の夫婦同氏制度は憲法に違反すると判断しており、憲法学界においても、違憲であるとの見解が圧倒的多数説となっています。 その理由は、一言で言えば、婚姻と氏という、いずれも人にとって重要な価値を有するものの二者択一を迫るということの不合理性にあり、憲法十三条が保障する氏名権、十四条一項が保障する平等権、二十四条一項が保障する婚姻の自由や夫婦間の平等、二十四条二項が保障する個人の尊厳や両性の本質的平等がその根拠として挙げられています。 すなわち、これは人権侵害をどう解消するかという問題であって、困っている人の数が多くないとか世論が分かれているといった観点で比較考量すべき問題ではないという点を最初に強調させていただきたいと思います。 同時に、二〇二一年の内閣府による調査結果から試算しますと、別氏での婚姻希望者は約九百三十四万人となりますので、実際には少数とは言えない人数に及んでいるということも申し添えます。 第二に、婚姻の本質と戸籍の根幹について法的に整理をさせていただきますと、まず、婚姻の本質は、資料四ページにありますとおり、最高裁判例によって、両性が永続的な精神的及び肉体的結合を目的として真摯な意思をもって共同生活を営むことにあると解されています。 つまり、同氏は婚姻の本質ではありません。二〇一五年の最高裁判決においても、木内裁判官が、同氏でない婚姻をした夫婦は破綻しやすくなる、あるいは、夫婦間の子の生育がうまくいかなくなるという根拠はないと指摘しています。 同様に、夫婦、親子同氏が戸籍の根幹であるとの理解も不正確ないし誤りです。戸籍の本質、根幹は、法務省より繰り返し答弁がなされているとおり、親族的身分関係の登録、公証にあります。 そのためには同氏であることは必要不可欠ではなく、そうであるからこそ、法制審案は、同氏か別氏かにかかわらず、夫婦、親子を同じ戸籍に入れて家族として登録、公証することを優先、重視したものです。 そもそも、民法は、一九四七年の制定当初より、連れ子再婚、国際結婚など、親子別氏の家族を想定し、包含しています。親子別氏が子の福祉を害するのであれば、それを許さない制度となっているはずですが、そうはなっていません。 資料四ページに示しましたように、令和三年の最高裁決定において、宮崎、宇賀両裁判官も、子の氏とその両親の氏が同じである家族というのは、民法制度上、多様な形態を取ることが容認されている様々な家族の在り方の一つのプロトタイプ、法的強制力のないモデルにすぎない、そのプロトタイプたる家族形態において氏が家族の呼称としての意義を有するというだけで人格的利益の侵害を正当化することはできないと指摘しています。 第三に、旧姓の法制化につきましては、これまで世論調査において中身が明らかにされないまま賛否が問われてきた中で、今回、法案という形で内容を明らかにしてくださった日本維新の会の皆様には心から敬意を表します。 その上で、維新案は、ダブルネームではないとの御説明もなされているところですが、法案を拝見しますと、一人の人物に戸籍姓と旧姓という二つの法的な呼称を認めるというものですから、これはどう読んでも、法的にダブルネームを認めることにほかなりません。ですので、もし世論調査をするなら、一人の人物が二つの法的な氏名を持つことへの賛否を問う必要があると思います。 また、維新の先生の御説明では、私企業に対しては努力義務しか課せないものの、公的書類に旧姓のみが表示される中で、私企業があえて戸籍姓にこだわるとは考え難いということです。 しかし、私は、以前、職場における旧姓使用を求める裁判の代理人を務めたことがありまして、資料五ページに抜粋しましたように、その際、裁判所は、戸籍上の氏は戸籍制度という公証制度に支えられているものであり、より高い個人の識別特定機能を有しているとして、企業側が戸籍姓に固執したとしてもそれは違法ではないとの判決を下しました。たとえ旧姓に法的根拠が与えられたとしても、企業が戸籍姓を使用するというなら、これまでどおり、それに従わざるを得ないことは変わりません。 維新案は、戸籍姓の個人識別機能を無にしようとするものであり、その御説明とは裏腹に、戸籍制度を形骸化させるものです。これに対して、選択的夫婦別氏制度は、戸籍姓の識別機能を保ち、家族や親族を一体として表すという戸籍の本質、根幹に資するもので、改正すべき法律は四つしかなく、旧姓の法制化よりも法技術的にシンプルです。 選択的夫婦別氏を求める人々の願いは、現在もほとんどの男性がそうであるように、シンプルに一つの名前で生きていきたいというもので、生来の氏をわざわざ旧姓にして、それに法的根拠を与えてほしいと願っているわけではありません。旧姓の法制化では、本名である戸籍姓を主に女性が失ってしまうという氏名権の侵害や平等権の侵害という状況は変わりません。 二〇二一年の最高裁決定において、宮崎、宇賀両裁判官も、旧姓の通称使用は、実態としては婚姻した女性にダブルネームを認めるのと同じであるところ、ダブルネームである限り、人格的利益の喪失がなかったことになるわけではないと指摘しています。 最後に、現在行っている訴訟は、夫婦同氏に価値を見出す方々を否定するものでは決してありません。ただ、法律上はどちらが改姓してもよいのに、九五%の夫婦で女性が改姓しているという、結果として男女不平等な状況が長年続いているという実態には男女の社会的、経済的格差が作用していることは、資料五ページにありますように、最高裁判決においても指摘をされているところです。 そういった中で、十日の本委員会において、布柴教授が、自分の意思で選択するということが幸福につながるという趣旨のことをおっしゃっていました。 令和四年の最高裁決定においても、渡辺裁判官が、個人が婚姻相手の氏に変更するとしても、選択的夫婦別氏制により選択の機会が与えられた上で、個人がその意思で婚姻相手の氏への変更を選択したものであるか、夫婦同氏制により氏の変更が事実上余儀なくされた結果であるかには大きな違いがあり、その個人の意思決定がその後の生き方にも影響を与えることに鑑みると、このような選択の機会を与えることこそ、個人の尊厳の尊重であると考えると述べています。 同氏にするにしても、自らの意思として前向きに選択したんだと全ての人が思えるような制度、社会へと国会議員の先生方に導いていただけましたらと思います。 ありがとうございました。(拍手)9
反
参考人 八木秀次
その通りです。別氏になれば一つの戸籍に二つの氏が存在することになり、全体としてのファミリーネームが消滅することを危惧しています。タップで全文表示▼
○西村委員長 ありがとうございました。 次に、志牟田参考人にお願いいたします。0
反
参政党 吉川里奈
国際機関が我が国の家族観や制度の根幹を、外圧で変えようとする動きについてはどうお考えですか?タップで全文表示▼
○西村委員長 ありがとうございました。 次に、志牟田参考人にお願いいたします。1
反
参考人 八木秀次
普遍的人権は尊重すべきですが、国や地域で事情が異なります。日本政府はしっかり我が国の立場を主張すべきです。タップで全文表示▼
○西村委員長 ありがとうございました。 次に、志牟田参考人にお願いいたします。2
反
参政党 吉川里奈
寺原参考人に伺います。夫婦別姓制度が導入された場合、相手方の家族からの圧力などにより、本人たちの自由な意思による結婚が難しくなるのではないですか?少数派の声で多数派の安心や秩序を損なう場合、どう調整すべきですか。タップで全文表示▼
○西村委員長 ありがとうございました。 次に、志牟田参考人にお願いいたします。3・115
賛
参考人 寺原真希子
現在の制度でも同様の圧力はあります。制度を導入すれば、婚姻を自分の意思でできる人が増えるため、むしろプラスの方向になります。タップで全文表示▼
○西村委員長 ありがとうございました。 次に、志牟田参考人にお願いいたします。4・116
反
参政党 吉川里奈
井田参考人に伺います。あすにはの調査で、事実婚のサンプルを大きく増やして全国人口に掛け合わせるのは、意欲を過大に見せているのではないですか?行動転換率も考慮せず推計した理由を教えてください。タップで全文表示▼
○西村委員長 ありがとうございました。 次に、志牟田参考人にお願いいたします。7・119
賛
参考人 井田奈穂
成人人口の2〜3%が事実婚であるという前提に基づいて調査機関が行ったもので矛盾はありません。法改正前の意向と行動を結びつけるのは難しく、どう推計するのか逆に伺いたいくらいです。タップで全文表示▼
○西村委員長 ありがとうございました。 次に、志牟田参考人にお願いいたします。8・120
反
参政党 吉川里奈
信頼区間などの不確実性を示さず、断定的に58.7万人と打ち出した理由はあるのですか!?タップで全文表示▼
○志牟田参考人 よろしくお願いします。 本日は、このような機会をいただき、誠にありがとうございます。 私は、一般社団法人男女共同参画学協会連絡会にてアンケートワーキング委員長を務めております志牟田美佐です。よろしくお願いします。 本日は、科学者の通称使用の実態と、その限界から見えてくる選択的夫婦別姓制度の必要性について、調査結果を基に御報告いたします。 それでは、こちらの資料、「研究者は氏名が看板である 選択的夫婦別姓導入の必要性について」を御覧ください。手元に持ってください、見てください、よろしくお願いします。 資料二から三を御覧ください。 当連絡会は、科学技術系を中心とした百十七の学協会が加盟する組織です。延べ五十万人ほどの科学者が存在しております、この加盟組織の中にですね。 そして、選択的夫婦別姓制度に関する調査は、今年の四月から五月にかけて、加盟学協会会員を対象に実施いたしました。その結果、男性五千九十四名、女性二千三百四十四名、性別を回答しない百二十七名、そのほか十七名、合計七千五百八十二名から回答を得られました。 それでは、資料四を御覧ください。 性別、年齢別に見た、婚姻に伴う改姓と通称使用の経験についての図になります。上が女性、真ん中は男性、一番下は性別を回答しない、その他になります。 赤点線で囲まれました薄ダイダイ色で示される、法律婚による改姓に伴い、通称使用をした経験がある者の割合は、男女共にライフイベントが始まる時期から増加していますが、特に、キャリア形成の三十代後半から四十代の女性で顕著に増加しております。水色は、法律婚による改姓を行っていない者の割合を示しますが、その割合は圧倒的に男性に多いことが分かります。 資料五を御覧ください。こちらはパネルでも提示いたします。 先ほどの法律婚をした者を男女別に、改姓し、通称使用をした経験のある者を薄ダイダイ色、そして、改姓したが、通称使用をした経験のない者を青色、法律婚によって改姓していない者を水色で表しています。上が女性、下は男性になります。 薄ダイダイ色で示される、法律婚によって改姓し、通称使用をした経験のある者の割合は、女性で七二・六%、男性で四・六%で、圧倒的に女性で多いことが分かります。また、法律婚をした者のうち、薄ダイダイ色と青で示されます改姓した者の割合と、水色で示されます改姓をしていない者の割合を比較しますと、女性の九二・四%が改姓しているのに対し、男性の九三・八%は改姓をしていないことが示されました。 資料六を御覧ください。 男女別に、改姓した者の中で、通称使用の経験ありを薄ダイダイ色、なしを青色で示した図です。この解析結果から、男女共に、法律婚で改姓した者の七割ほどで通称使用をしていることが分かります。 資料七を御覧ください。こちらはパネルでも紹介いたします。 この図は、男女別に見た、法律婚に伴う不利益について経験した者の割合を男女別に示しております。紫色が男性、緑色は女性を示していますが、法律婚による不利益は、圧倒的に女性が多く経験していることが分かります。特に、法律婚をした女性の五〇%以上は、夫婦のうちどちらかが改姓しなくてはならないという夫婦間の不平等感、また、パスポートや免許証などの名義変更についての負担感やトラブルを経験しております。 次に、資料八を御覧ください。 法律婚による改姓に関する自由記述の一部を紹介いたします。 姓を奪われた思い、法律上は選べても、現実には女性が改姓するしかない、自分の姓を奪われたと感じている。プライバシーの侵害、改姓で婚姻歴が職場に漏れてしまう、夫は改姓せずに済む、その不公平に怒りすら覚える。キャリアの断絶、積み重ねてきたキャリアとの連続性を失い、別人のような感覚に苦しんでいる、論文検索でも旧姓と現姓が分断され、研究の一貫性を示すのに苦労している。また、社内システム及び有期雇用がゆえの苦労などについては、改姓のたびに社内システムを更新し、アクセス権を一時的に失うこともある、特に有期雇用では、そのたびに手続を繰り返す非効率さがある。また、別姓制度に変わるまで法律婚をしないなどの記入がありました。 資料九を御覧ください。こちらはパネルでも提示いたします。 左の棒グラフは、右に挙げている通称使用ゆえの様々なトラブルの項目のうち、一つでも経験があると回答した者の割合で、七八%おりました。 項目別に見ますと、この右の方なんですけれども、戸籍姓と通称の使い分けについての迷いや煩雑さなどの負担感が最も多く、六〇%でした。そして、改姓、通称使用による事務担当者の負担への申し訳なさ、パスポート、戸籍名、旧姓併記と航空券の記載名に関する手間やトラブル、研究や学会参加についての事務、旅費関係の手続に関する手間やトラブルは四割を超えておりました。 資料十を御覧ください。こちらはパネルでも提示いたします。 通称使用経験者の自由記入の中から、業績に関連した内容の一部を示します。 履歴書と業績リストの名前が一致せず書類審査に落ちたや、有期雇用で通称使用を何度もやり直さなければならない実態、また、通称使用でもよいという意見があるのは、通称では仕事の上で著しく困るという事実を知らないからにすぎないとの記述もありました。特に、赤で示しております、文部科学大臣表彰若手科学者賞という栄誉ある賞を受賞したのに、賞状は戸籍名しか記されなかったは、令和四年度の通称使用拡大以降に確実に発生した事案であります。 資料十一を御覧ください。 こちらは、通称使用者の自由記入の中から、行政や職場での手続関係の一部の抜粋です。先ほどの資料と同じく、赤字で示された内容は、令和四年度の通称使用拡大以降に確実に発生した事案であります。 資料十二を御覧ください。 こちらは、通称使用経験者の自由記入の中から、海外出張時、パスポート関係の一部抜粋です。赤字で示されました令和四年度の通称使用拡大以降に確実に発生した事案のみを読み上げます。 海外出張では、常にリスクと隣り合わせ。空港でのセキュリティー、出国するときに審査や確認で一時間以上待たされる。セキュリティー強化の影響で、パスポートとビザの登録名と参加者名が一致しないと、学会参加のための入国を拒否される。海外に入国できたとしても、フィールド調査地の地方政府や警察に旧姓併記の説明は非常に難しい。 以上のように、通称使用拡大がなされた現在でも、本調査では、通称使用が様々な場面で限界があることが浮き彫りになりました。 資料十三から十五を御覧ください。資料十三はパネルにて表示いたします。 こちらの資料は、性別で見た科学者の事実婚の割合を紫色で示しております。一般社団法人「あすには」と慶応義塾大学の合同調査、先ほど御紹介がありましたが、そちらの事実婚の割合は約二%でした。しかし、我々科学者集団においては、女性の四・九%、男性の二・七%、性別を回答しないの三・九%が事実婚を経験したと回答しており、特に女性で多いことが示されました。事実婚でのトラブルや不安としては、相続、ローンの制限、社会的偏見が記されております。 資料十六を御覧ください。こちらは最後のデータになります。 この資料は、性別、年齢別で見た、選択的夫婦別姓制度導入に対する意見になります。オレンジで示されます選択的夫婦別姓制度導入に賛成する割合は、二十五から三十四歳の女性で最も高く、約九割が賛成と回答しております。また、男性でも、六十五歳以上では七割以上が賛成と回答しておりました。まとめると、選択的夫婦別姓制度について、女性全体の八三%、男性全体の六一%が賛成の意思を表しております。 資料十七を御覧ください。 本調査のまとめです。改姓と通称使用の負担は女性研究者に偏っていることが分かりました。氏が研究業績と直結する研究者にとって、改姓や通称使用は、業績の認知、信用の面だけでなく、心理的負担や手続の煩雑さといった様々な不利益をもたらしていることが示されました。改姓や通称使用の負担回避のための事実婚という選択においても不利益が伴うことが分かりました。また、令和四年度からパスポートへの旧姓併記が可能となったものの、依然として、学会参加や空港での本人確認などにおいて不利益やリスクが存在していることが明らかになっております。こうした現状を背景に、科学者の、特に女性の多くが、選択的夫婦別姓制度の導入の必要性を認識していることが分かりました。 通称使用の制度を整えることも大切ですが、根本的な解決には、改姓を強制しない制度、すなわち、選択的夫婦別姓制度が必要と考えます。どうかこうした現場の実情を基に制度の議論を進めていただきたく、強くお願い申し上げます。 私の報告を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)1
賛
参考人 井田奈穂
統計学上、小数点以下まで開示した方が正確であり、丸めた方がいいというご意見は理解しかねます!タップで全文表示▼
○志牟田参考人 よろしくお願いします。 本日は、このような機会をいただき、誠にありがとうございます。 私は、一般社団法人男女共同参画学協会連絡会にてアンケートワーキング委員長を務めております志牟田美佐です。よろしくお願いします。 本日は、科学者の通称使用の実態と、その限界から見えてくる選択的夫婦別姓制度の必要性について、調査結果を基に御報告いたします。 それでは、こちらの資料、「研究者は氏名が看板である 選択的夫婦別姓導入の必要性について」を御覧ください。手元に持ってください、見てください、よろしくお願いします。 資料二から三を御覧ください。 当連絡会は、科学技術系を中心とした百十七の学協会が加盟する組織です。延べ五十万人ほどの科学者が存在しております、この加盟組織の中にですね。 そして、選択的夫婦別姓制度に関する調査は、今年の四月から五月にかけて、加盟学協会会員を対象に実施いたしました。その結果、男性五千九十四名、女性二千三百四十四名、性別を回答しない百二十七名、そのほか十七名、合計七千五百八十二名から回答を得られました。 それでは、資料四を御覧ください。 性別、年齢別に見た、婚姻に伴う改姓と通称使用の経験についての図になります。上が女性、真ん中は男性、一番下は性別を回答しない、その他になります。 赤点線で囲まれました薄ダイダイ色で示される、法律婚による改姓に伴い、通称使用をした経験がある者の割合は、男女共にライフイベントが始まる時期から増加していますが、特に、キャリア形成の三十代後半から四十代の女性で顕著に増加しております。水色は、法律婚による改姓を行っていない者の割合を示しますが、その割合は圧倒的に男性に多いことが分かります。 資料五を御覧ください。こちらはパネルでも提示いたします。 先ほどの法律婚をした者を男女別に、改姓し、通称使用をした経験のある者を薄ダイダイ色、そして、改姓したが、通称使用をした経験のない者を青色、法律婚によって改姓していない者を水色で表しています。上が女性、下は男性になります。 薄ダイダイ色で示される、法律婚によって改姓し、通称使用をした経験のある者の割合は、女性で七二・六%、男性で四・六%で、圧倒的に女性で多いことが分かります。また、法律婚をした者のうち、薄ダイダイ色と青で示されます改姓した者の割合と、水色で示されます改姓をしていない者の割合を比較しますと、女性の九二・四%が改姓しているのに対し、男性の九三・八%は改姓をしていないことが示されました。 資料六を御覧ください。 男女別に、改姓した者の中で、通称使用の経験ありを薄ダイダイ色、なしを青色で示した図です。この解析結果から、男女共に、法律婚で改姓した者の七割ほどで通称使用をしていることが分かります。 資料七を御覧ください。こちらはパネルでも紹介いたします。 この図は、男女別に見た、法律婚に伴う不利益について経験した者の割合を男女別に示しております。紫色が男性、緑色は女性を示していますが、法律婚による不利益は、圧倒的に女性が多く経験していることが分かります。特に、法律婚をした女性の五〇%以上は、夫婦のうちどちらかが改姓しなくてはならないという夫婦間の不平等感、また、パスポートや免許証などの名義変更についての負担感やトラブルを経験しております。 次に、資料八を御覧ください。 法律婚による改姓に関する自由記述の一部を紹介いたします。 姓を奪われた思い、法律上は選べても、現実には女性が改姓するしかない、自分の姓を奪われたと感じている。プライバシーの侵害、改姓で婚姻歴が職場に漏れてしまう、夫は改姓せずに済む、その不公平に怒りすら覚える。キャリアの断絶、積み重ねてきたキャリアとの連続性を失い、別人のような感覚に苦しんでいる、論文検索でも旧姓と現姓が分断され、研究の一貫性を示すのに苦労している。また、社内システム及び有期雇用がゆえの苦労などについては、改姓のたびに社内システムを更新し、アクセス権を一時的に失うこともある、特に有期雇用では、そのたびに手続を繰り返す非効率さがある。また、別姓制度に変わるまで法律婚をしないなどの記入がありました。 資料九を御覧ください。こちらはパネルでも提示いたします。 左の棒グラフは、右に挙げている通称使用ゆえの様々なトラブルの項目のうち、一つでも経験があると回答した者の割合で、七八%おりました。 項目別に見ますと、この右の方なんですけれども、戸籍姓と通称の使い分けについての迷いや煩雑さなどの負担感が最も多く、六〇%でした。そして、改姓、通称使用による事務担当者の負担への申し訳なさ、パスポート、戸籍名、旧姓併記と航空券の記載名に関する手間やトラブル、研究や学会参加についての事務、旅費関係の手続に関する手間やトラブルは四割を超えておりました。 資料十を御覧ください。こちらはパネルでも提示いたします。 通称使用経験者の自由記入の中から、業績に関連した内容の一部を示します。 履歴書と業績リストの名前が一致せず書類審査に落ちたや、有期雇用で通称使用を何度もやり直さなければならない実態、また、通称使用でもよいという意見があるのは、通称では仕事の上で著しく困るという事実を知らないからにすぎないとの記述もありました。特に、赤で示しております、文部科学大臣表彰若手科学者賞という栄誉ある賞を受賞したのに、賞状は戸籍名しか記されなかったは、令和四年度の通称使用拡大以降に確実に発生した事案であります。 資料十一を御覧ください。 こちらは、通称使用者の自由記入の中から、行政や職場での手続関係の一部の抜粋です。先ほどの資料と同じく、赤字で示された内容は、令和四年度の通称使用拡大以降に確実に発生した事案であります。 資料十二を御覧ください。 こちらは、通称使用経験者の自由記入の中から、海外出張時、パスポート関係の一部抜粋です。赤字で示されました令和四年度の通称使用拡大以降に確実に発生した事案のみを読み上げます。 海外出張では、常にリスクと隣り合わせ。空港でのセキュリティー、出国するときに審査や確認で一時間以上待たされる。セキュリティー強化の影響で、パスポートとビザの登録名と参加者名が一致しないと、学会参加のための入国を拒否される。海外に入国できたとしても、フィールド調査地の地方政府や警察に旧姓併記の説明は非常に難しい。 以上のように、通称使用拡大がなされた現在でも、本調査では、通称使用が様々な場面で限界があることが浮き彫りになりました。 資料十三から十五を御覧ください。資料十三はパネルにて表示いたします。 こちらの資料は、性別で見た科学者の事実婚の割合を紫色で示しております。一般社団法人「あすには」と慶応義塾大学の合同調査、先ほど御紹介がありましたが、そちらの事実婚の割合は約二%でした。しかし、我々科学者集団においては、女性の四・九%、男性の二・七%、性別を回答しないの三・九%が事実婚を経験したと回答しており、特に女性で多いことが示されました。事実婚でのトラブルや不安としては、相続、ローンの制限、社会的偏見が記されております。 資料十六を御覧ください。こちらは最後のデータになります。 この資料は、性別、年齢別で見た、選択的夫婦別姓制度導入に対する意見になります。オレンジで示されます選択的夫婦別姓制度導入に賛成する割合は、二十五から三十四歳の女性で最も高く、約九割が賛成と回答しております。また、男性でも、六十五歳以上では七割以上が賛成と回答しておりました。まとめると、選択的夫婦別姓制度について、女性全体の八三%、男性全体の六一%が賛成の意思を表しております。 資料十七を御覧ください。 本調査のまとめです。改姓と通称使用の負担は女性研究者に偏っていることが分かりました。氏が研究業績と直結する研究者にとって、改姓や通称使用は、業績の認知、信用の面だけでなく、心理的負担や手続の煩雑さといった様々な不利益をもたらしていることが示されました。改姓や通称使用の負担回避のための事実婚という選択においても不利益が伴うことが分かりました。また、令和四年度からパスポートへの旧姓併記が可能となったものの、依然として、学会参加や空港での本人確認などにおいて不利益やリスクが存在していることが明らかになっております。こうした現状を背景に、科学者の、特に女性の多くが、選択的夫婦別姓制度の導入の必要性を認識していることが分かりました。 通称使用の制度を整えることも大切ですが、根本的な解決には、改姓を強制しない制度、すなわち、選択的夫婦別姓制度が必要と考えます。どうかこうした現場の実情を基に制度の議論を進めていただきたく、強くお願い申し上げます。 私の報告を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)2

ビクッ!な、なんだか調査の統計データまで厳しく追及されてバチバチしてるよぉ…!外圧とか多数派の秩序とか、話のスケールがどんどん大きくなってる!
今回の法務委員会での議論はここまで!
ジェンダー平等か、伝統的家族観の維持か!調査データの信憑性まで問われる激しい論戦が展開!
ジェンダー平等か、伝統的家族観の維持か!調査データの信憑性まで問われる激しい論戦が展開!
