秀吉vs家康の直接対決!小牧・長久手の戦いと外交|5分de探究#065

安土桃山時代
秀吉vs家康の直接対決!小牧・長久手の戦いと外交|5分de探究#065
戦上手な家康がなぜ秀吉に屈したのでしょうか?


直接対決では勝っていたのに、結果的に天下を譲った不思議。歴史が動いた瞬間の、知られざる心理戦の裏側がわかります。


▼ この記事でわかること

Q. 秀吉vs家康の直接対決は実際どちらが勝った?


戦闘では家康が勝利しましたが、秀吉は巧みな外交戦で周辺大名を切り崩して孤立させ、政治的に屈服させました。

信長亡き後の激しい権力闘争、その勝者は羽柴秀吉でした。彼は清洲会議で後継者問題をあえて先送りして時間を稼ぎ、その裏で着々と自らの地盤を固めます。最大の好敵手・柴田勝家賤ヶ岳で破ると、続く徳川家康との対立では巧みな外交戦を展開しました。

武力だけでなく、圧倒的な政治力で周囲の大名を次々と味方につけ、実質的な天下人へと登り詰めたのです。秀吉がいかにしてライバルたちを出し抜き、天下への道を切り開いたのか、その鮮やかな手腕と冷徹な計算を詳しく解説します。

秀吉が仕掛けた「清洲会議の罠」

清洲会議:信長の後継者を決めるため、柴田勝家ら織田家の重臣たちが一堂に会して開催した重要な評定
三法師:本能寺の変で亡くなった信長の嫡男・信忠の遺児で、秀吉が自らの権力確立のために擁立した後継者
織田信孝:信長の三男で、秀吉に対抗するため柴田勝家と結びつき、叔母のお市を勝家に嫁がせた野心家

本能寺の変の後、織田家臣団のパワーバランスは崩壊の危機にありました。そこで開かれたのが清洲会議です。ここで秀吉は、明智光秀を討った功績を背景に、まだ幼い三法師を後継者として強く推しました。一見、織田家への忠誠心からくる行動に見えますが、これは競合するライバルたちを牽制し、自分が実権を握るための計算され尽くした第一歩だったのです。


秀吉は愛人への手紙で「50年間国家の平和を保つ」と豪語しており、既に天下への野望を抱いていました。この動きを警戒したのが、信長の三男である織田信孝と、古参の柴田勝家です。彼らは同盟を結び、三法師を岐阜城へ囲い込むなどして対抗します。秀吉はこれを「合意違反」だと厳しく断罪し、彼らを討つための正当な大義名分を得ることになりました。

🔍 つまりどういうこと?🔍

秀吉は清洲会議であえて決定的な決着をつけず、幼い三法師を利用して主導権を握ることに成功しました。これに反発した信孝勝家が焦って動くのを虎視眈々と待ち構え、それを約束を破った「謀反」として叩く準備を整えていたのです。正義を装いながらライバルを追い詰める、秀吉の政治的な怖さが際立つ場面です。


甲冑を着て軍配を持ち、厳しい表情で遠くを見つめる羽柴秀吉の姿


── では、最大のライバルとの直接対決を見ていきましょう。

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勝家を葬った「美濃大返し」

柴田勝家:織田家筆頭家老として長年仕えたが、台頭する秀吉を危惧して信孝と手を組み対抗しようとした猛将
お市の方:浅井長政との死別を経て勝家に嫁ぎ、最後は北ノ庄城で夫と共に自害することを選んだ悲劇の女性
賤ヶ岳の戦い:近江で行われた秀吉と勝家の決戦で、秀吉の神速の行軍により勝利が確定した天下分け目の戦い

1583年、ついに秀吉と柴田勝家の軍事衝突が始まります。当初、秀吉の主力は美濃にいましたが、勝家が近江へ侵攻したとの報を受けるや否や、驚異的な速度で軍を反転させました。これが有名な「美濃大返し」です。50キロ以上の道のりをわずか数時間で移動し、賤ヶ岳の戦いで虚を突かれた柴田軍は総崩れとなり、秀吉の勝利が決定的となりました。


敗れた勝家は居城の北ノ庄城へ逃げ帰りますが、もはやこれまでと悟り、妻のお市の方と共に自害して果てました。お市の方はかつて浅井長政との死別も経験していましたが、今回は夫と共に死を選びます。燃え盛る城の中で、彼女の連れ子であった三人の娘たちだけが助け出され、後の歴史に数奇な運命を残すことになります。これが織田家筆頭家老の最期でした。

🔍 つまりどういうこと?🔍

秀吉は人間離れした神速の行軍勝家を圧倒し、織田家中で最大の勢力を誇った柴田軍を壊滅させました。これにより、もはや織田家臣の中に彼に表立って逆らえる実力者は存在しなくなりました。武力においても秀吉が他を圧倒していることを、天下に知らしめる決定的な勝利だったと言えるでしょう。

💡 情報が混み合っていませんか?細かい時系列は、年号整理ページ にまとめてあります。是非ご活用ください。


静かに座り、書状を読んで思案する徳川家康の肖像


── では、最後に立ちはだかる家康との攻防を解説しましょう。

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家康を封じた「外交の勝利」

徳川家康:信長の盟友として領土を拡大し、信長死後は秀吉の覇権に対して唯一武力で真っ向から挑んだ律儀者
小牧・長久手の戦い:家康と信雄が秀吉軍と激突し、局地戦では家康側が奇襲を成功させて勝利を収めることになった激戦
安堵:服従する代わりに従前の領土の所有権を認めると約束し、敵対勢力を戦わずして切り崩す秀吉の懐柔策

勝家亡き後、秀吉に立ちはだかったのが徳川家康です。信長の次男・信雄を擁立した家康は、小牧・長久手の戦いで秀吉軍を局地的に撃破しました。武力で家康を屈服させるのは困難だと悟った秀吉は、戦術を「外交」へと切り替えます。周辺の有力大名たちに次々と接触し、家康を孤立させるための包囲網を作り始めたのです。


秀吉は「私に従えば、今の領地をそのまま認める」という極めて魅力的な条件を提示しました。これにより、家康と結ぶ可能性のあった毛利や上杉、さらには姻戚関係にあった北条までもが家康への加勢を見送ります。外堀を完全に埋められた家康は、戦には勝っていたものの、政治的な敗北を悟り、秀吉との講和に応じるしかありませんでした。

🔍 つまりどういうこと?🔍

秀吉は勝てない相手に対して無理に戦わず、領土の安堵という利益供与によって周囲から孤立させる老獪な手腕を発揮しました。この外交勝利により、頼朝以来とも称される強固な政権基盤を確立したのです。家康という最強の武将さえも、秀吉の圧倒的な政治力の前には膝を屈せざるを得なかった、ということです。


── 👀 読むのが疲れてきませんか? 「歴史は好きだけど、文字を読む時間はあまりない…」 そんな方には、耳で聴く読書がオススメ。

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次回のお話はこちら!

豊臣秀吉の天下統一!関白就任と外様譜代の支配術|5分de探究#066
なぜ農民出身の秀吉だけが天下を統一できたのか? 信長亡き後、瞬く間に日本を掌握した彼の手腕には、現代にも通じる人心掌握術が隠されていました。その巧妙な支配システムを紐解きます。
  • STEP 1.一気読みでサクッと把握5min

  • STEP 2.この記事で理解を深める5min

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── 最後に、この記事のまとめFAQでおさらいしましょう。

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天下人が見せた「統治の才覚」

秀吉の天下統一は、単なる武力の勝利ではありませんでした。彼は清洲会議での忍耐、賤ヶ岳での迅速な行動、そして対家康戦での老獪な外交術を巧みに使い分け、確実に権力を手中に収めました。状況に応じて硬軟自在に振る舞うその柔軟性と、機を見るに敏な冷徹な計算こそが、彼を天下人へと押し上げた最大の要因と言えるでしょう。
この記事のポイントは、以下の3つです。

後継者を利用し主導権を握る政治力
好機を逃さず敵を圧倒する行動力
敵を孤立させ戦わずして勝つ外交力

ここで得た小さな気づきが、明日のあなたの視野をほんの少しだけ広げてくれますように。

❓この記事のテーマに関するFAQ❓

Q1.なぜ秀吉は幼い三法師を後継者に推したのですか?

自分が操りやすい子供をトップに据えることで、実質的な権力を握るためです。また、成人した信孝らを排除するもっともらしい口実にもなりました。

Q2.お市の方はなぜ逃げずに自害を選んだのですか?

二度の落城を経験する中で、織田家の誇りと夫・勝家への操を立てたと考えられます。戦国の女性としての、決して曲げられない強い覚悟の表れでした。

Q3.戦に勝った家康が、なぜ秀吉と講和したのですか?

秀吉が周辺大名の領地を安堵し味方につけたため、家康は孤立したからです。戦を続けても政治的に負けると判断し、苦渋の決断を下しました。

[主な参考資料]
・佐藤信ほか編『詳説日本史(日本史探究)』山川出版社,2023
・国史教科書編纂委員会編『市販版 国史教科書』PHP研究所,2024
・笹山晴生ほか編『詳説 日本史史料集』山川出版社
出典:Wikimedia Commons
※当記事は上記の信頼できる書籍・史料に基づき作成していますが、わかりやすさを優先した独自の表現を含みます

🖋この記事を書いた人🖋

Alex Kei(学び直し歴史ライター)

早稲田大学創造理工学部卒。複数の教科書と専門書を読み比べながら、【大人の学び直し】に特化した記事を執筆しています。
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