琉球侵攻とアイヌ支配!鎖国の陰で進む植民地化|5分de探究#077

江戸時代
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琉球侵攻とアイヌ支配!鎖国の陰で進む植民地化|5分de探究#077
「鎖国=平和」という常識は、本当の歴史なのでしょうか?


その陰で、南の琉球と北のアイヌは武力による過酷な支配を受けていました。辺境の地で進んだ植民地化と、日本の二面性を”5分”で紐解きます。

▼ この記事でわかること

Q. 琉球侵攻とアイヌ支配!鎖国の陰で何が起きた?


薩摩は琉球を二重支配し、松前はアイヌの交易権を独占。平和な時代の裏で進んだ植民地化の実態は、残酷な経済的搾取でした。

徳川家康の命を受けた薩摩藩は、琉球王国へ武力侵攻。表向きは中国の属国としつつ実質的に支配する、奇妙な二重の従属を強いました。一方、北の大地では松前氏がアイヌとの交易権を独占。

シャクシャインの戦いを経て、経済的な搾取から事実上の支配体制へと移行します。鎖国下の日本で密かに進行していた、南と北での植民地化の残酷な実態と、その裏にあるカネの論理に迫ります。平和な時代の陰で起きていた境界の歴史を紐解きます。

📚お読みになる前に📚

薩摩藩が強いた琉球の「二重支配」

尚寧:豊臣秀吉の朝鮮出兵時に協力を拒否し、後に薩摩藩の侵攻を受けて降伏した琉球の国王。
薩南諸島:琉球王国から割譲され、現在は鹿児島県に属する種子島や屋久島などを含む北方の島々。
朝貢国:中国皇帝に貢ぎ物を捧げることで、独立した国家としての地位を対外的に認められた国。

家康への服従を拒み続けた琉球王・尚寧に対し、薩摩藩は3年の準備を経て侵攻を開始。抵抗も虚しく制圧された琉球は、種子島や屋久島を含む薩南諸島の割譲と貢納を強いられます。これは単なる領土争いではなく、現代の沖縄県が抱える本土との複雑な距離感や、独特な文化が形成された歴史的な原点と言える出来事なのです。


興味深いのは、幕府が琉球に対し中国への朝貢国としての地位を継続させた点です。表向きは中国の家臣、実態は日本の支配下という二重の顔を持たせたのです。これは、鎖国下で正規貿易ができない日本が、琉球を隠れ蓑にして利益を得るための巧妙なシステムでした。建前と本音を使い分ける、したたかな外交の極意がここにあります。

🔍 つまりどういうこと?🔍

薩摩藩は琉球を武力制圧しましたが、あえて中国の朝貢国としての地位を残させました。これは、鎖国中で中国と直接貿易ができない日本が、琉球を経由して中国産品を入手するための抜け道です。支配の事実を隠蔽しつつ経済的実利のみを追求した、極めてしたたかで計算高い国家戦略だったのです。


琉球の王宮で、日本の武士の監視下におかれながら、中国からの使節団を迎える琉球王と役人たちの緊張した様子のイラスト


── では、なぜ中国側はこの「二重支配」を許したのか、その裏事情を見てみましょう。

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中国役人が黙認した裏の「賄賂」

清王朝:17世紀に明を倒して中国大陸を全土支配し、琉球からの朝貢を受け入れ続けた大帝国。
儒教:孔子の教えに基づき、個人的な欲望や物質主義を否定して仁や徳を重視する中国の道徳。
密貿易:国家間の正規の手続きや許可を経ずに、法を犯して隠れて行われる非合法な商品の取引。

一つの国が二つの主人に仕えるという異常事態に、中国大陸を支配していた清王朝が気づかないはずがありません。実際、多くの役人は琉球の異変を察知していましたが、あえてそれを問題にしませんでした。彼らが沈黙を守った理由を深掘りすると、国家の威信や高潔な理念とは裏腹な、人間の生々しい欲望が浮かび上がってくるのです。


建前上、中国の官僚は儒教の教えに従い、金銭的利益を卑しいものとみなしていました。しかし現実はシビアで、徳だけでは請求書は払えません。彼らは日本との密貿易から得られる莫大な賄賂や利益を目当てに、琉球の現状を黙認したのです。理念よりも実利が優先されるのは、いつの時代も変わらない組織の腐敗構造と言えます。

🔍 つまりどういうこと?🔍

中国の役人たちは儒教道徳を説きながらも、実際には日本側からの賄賂や密貿易による利益を期待して、琉球の二重支配を黙認していました。建前としての高潔な理念とは裏腹に、国家間の厳格なルールの裏側では、個人の私腹を肥やすための強固な癒着構造が出来上がっていたのです。

💡 情報が混み合っていませんか?細かい時系列は、年号整理ページ にまとめてあります。是非ご活用ください。


中国の役人が表向きはすました顔をしながら、袖の下で日本からの賄賂(小判など)を受け取っている風刺画風のイラスト


── では、視点を南から北へ移し、北海道のアイヌの人々の状況を見てみましょう。

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交易独占が生んだアイヌの「搾取」

松前氏:豊臣・徳川政権下で地位を確立し、蝦夷地におけるアイヌとの交易権を独占した武家一族。
商場知行制:家臣に対し、土地を与える代わりに特定の地域でアイヌと交易する権利を与えた独自制度。
シャクシャイン:不公平な交易条件や松前藩の締め付けに反発し、アイヌ民族を率いて蜂起したアイヌ首長。

北の大地、北海道では松前氏独自の支配体制を敷いていました。彼らは米が取れない土地で家臣を養うため、商場知行制を用いて交易権を給与代わりに配分しました。しかし、このシステムは次第に歪み、アイヌへの一方的な不利を強いるようになります。経済格差がどのように差別や支配へとつながるのか、その構造を学びます。


当初は相互利益だった関係も、松前氏が交易を独占すると一変します。彼らはアイヌ同士を対立させ、反乱が起きれば圧倒的な武力で鎮圧しました。特にシャクシャインの戦い以降は、日本語学習や武器の所持を禁じ、完全に服従させました。これは貿易相手をパートナーではなく、搾取の対象として固定化する冷徹な経営でした。

🔍 つまりどういうこと?🔍

松前氏商場知行制によって家臣に交易権を与え体制を維持しましたが、それはアイヌへの徹底的な経済的搾取と分断統治によって成り立っていました。シャクシャインの反乱を武力で封じ込めた後は、完全に自由を奪う植民地的な支配へと変貌し、一方的な従属を強いていったのです。


── 👀 読むのが疲れてきませんか? 「歴史は好きだけど、文字を読む時間はあまりない…」 そんな方には、耳で聴く読書がオススメ。

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  • STEP 1.一気読みでサクッと把握5min

  • STEP 2.この記事で理解を深める5min

  • STEP 3.拡大版noteで裏側まで10min

── 最後に、この記事のまとめFAQでおさらいしましょう。

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まとめ:鎖国の陰の「植民地化」

今回は、江戸時代の平和な鎖国の裏で進行していた、南の琉球と北のアイヌへの進出について解説しました。これらは単なる地方の出来事ではなく、日本が周辺地域を経済的・政治的にどのように組み込んでいったかを示す重要な事例です。権力が異文化を飲み込む際の冷徹な力学を理解することで、現代の国際関係を見る目も変わるはずです。
この記事のポイントは、以下の3つです。

琉球は日中両属という二重支配
黙認の裏にあった役人の賄賂
交易独占が生んだアイヌの搾取

ここで得た小さな気づきが、明日のあなたの視野をほんの少しだけ広げてくれますように。

❓この記事のテーマに関するFAQ❓

Q1.琉球と北海道が正式に日本領になったのはいつですか?

明治時代に入ってからです。琉球処分と開拓使の設置により、正式に沖縄県と北海道として国家に組み込まれました。

Q2.「蝦夷」と「アイヌ」は何が違うのですか?

蝦夷はヤマト政権から見た北方の異民族の総称で、アイヌはその子孫や関連集団と考えられています。歴史的文脈で使い分けられます。

Q3.なぜ幕府は、琉球が中国に従うことを許したのですか?

中国との貿易利益を得るためです。琉球を外国として扱うことで、鎖国の禁を犯さずに中国産品を入手できました。

各時代の FAQ は、FAQまとめページ で一気見できます。是非ご活用ください。
[主な参考資料]
・佐藤信ほか編『詳説日本史(日本史探究)』山川出版社,2023
・国史教科書編纂委員会編『市販版 国史教科書』PHP研究所,2024
・笹山晴生ほか編『詳説 日本史史料集』山川出版社
出典:Wikimedia Commons
※当記事は上記の信頼できる書籍・史料に基づき作成していますが、わかりやすさを優先した独自の表現を含みます

🖋この記事を書いた人🖋

Alex Kei(学び直し歴史ライター)

早稲田大学創造理工学部卒。複数の教科書と専門書を読み比べながら、【大人の学び直し】に特化した記事を執筆しています。
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