日本語のルーツと万葉集!漢字を音に変えた発明|5分de探究#019

平安時代
日本語のルーツと万葉集!漢字を音に変えた発明|5分de探究#019
【この記事は5分ほどで読めます】
「なぜ日本語は、これほど複雑なのでしょうか?」
中国語との激しいギャップに挑み、独自の文字を生み出した先人たちのドラマを知れば、普段の言葉がもっと愛おしくなるはずです。

日本語の起源は明確ではありませんが、文法的には朝鮮語と近く、中国語とは全く異なる構造を持っています。そのため、中国から伝来した漢字をそのまま日本語に当てはめるのは困難でした。

そこで古代の人々は、漢字の意味を捨てて音だけを利用する万葉仮名を発明します。この表記法により、大伴家持らが編纂した万葉集などの文学作品が生まれ、貴族から庶民まで幅広い層の素朴な感情が、ありのままの形で記録されるようになったのです。

▼ この記事でわかること

  • 中国語とは真逆な文法構造の意外な謎
  • 漢字を音で読む万葉仮名発明の裏話
  • 古代人の本音が炸裂する万葉集のリアル

📚お読みになる前に📚

日本語と中国語の決定的な「違い」

日琉語族:日本語や琉球語が含まれ、朝鮮半島を経由して列島へ渡ったとされる言語のグループ
膠着語:単語の語尾に「て・に・を・は」や助動詞を付着させて、文法的な意味を持たせる言語
SOV型:主語・目的語・動詞の順で言葉を並べる、日本語や朝鮮語などに共通している文の構成

日本語の正確な起源は未だ謎に包まれていますが、現在の学説では日琉語族に分類されており、朝鮮語と非常に似た文法構造を持っています。しかし、当時のお手本であった中国語とは全く異質でした。中国語は英語と同じく「主語・動詞・目的語」の順ですが、日本語SOV型であり、語順が完全に逆転してしまうのです。


また、日本語膠着語としての性質を強く持ち、動詞の語尾に「れる」「られる」などをくっつけることで意味を変化させます。これに対し、中国語には動詞の活用が一切ありません。この根本的なシステムの違いこそが、中国生まれの「漢字」日本語の表記に導入する際、古代の人々を大いに悩ませることになったのです

🔍 つまりどういうこと?🔍

日本語は文法の仕組みが中国語とは真逆と言っていいほど異なります。主語と動詞の位置も違えば、言葉の変化の仕方も合いません。そのため、中国の優れた文字システムである漢字をそのまま輸入しても、日本語を書き表すには不都合があまりにも多く、大きな壁となって立ちはだかりました。


筆を持って悩みながら漢字を書こうとしている古代の日本の学者のイラスト


── では、彼らはどうやってこの壁を乗り越えたのでしょう。

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漢字を音で利用した「万葉仮名」

万葉仮名:漢字本来の意味を無視して、日本語の音を表すために漢字を借用して表記を行う手法
表音文字:文字一つひとつが特定の意味を持たず、音のみを表す役割を果たしている、かな等の文字
古事記:奈良時代に編纂された歴史書であり、現存する中で最も古い日本語の文章を含む書物

当時のエリート層にとって中国語は必須の教養でしたが、日本の人名や固有名詞を書き残す必要に迫られました。そこで生み出されたのが、漢字を単なる表音文字として使う万葉仮名という発明です。これは現代で言う「夜露死苦」のように、漢字本来の意味を完全に無視して音だけを借りてくる、非常に画期的なアイデアでした。


古事記は、この手法を用いて日本語の音をそのまま記録した最初の本格的な試みの一つです。中国の人から見れば意味不明な文字の羅列にしか見えなかったことでしょうが、この工夫のおかげで、私たちは古代の言葉の響きを知ることができます。この万葉仮名こそが、のちのひらがなやカタカナへと進化していくのです

🔍 つまりどういうこと?🔍

日本語の音を書き残すため、漢字の意味を思い切って捨て、その「音」だけを利用するシステムを構築しました。これにより、外国語である漢字という道具を使いながらも、日本固有の言葉や名前を正確に記述することが可能になり、独自の文化を記録する土台が整ったのです。

💡 情報が混み合っていませんか?細かい時系列は、年号整理ページ にまとめてあります。是非ご活用ください。


万葉集を手に取り、風景を眺めながら歌を詠む奈良時代の貴族の男性のイラスト


── では、この文字で何が書かれたのでしょう。

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素朴な感情を詠った『万葉集』

大伴家持:奈良時代末期の貴族であり、万葉集の編纂作業に深く関わったとされている中心的な人物
長歌:五・七の音を長く交互に繰り返し、最後に七・七で結んで終わる、物語性の高い詩の形式
仏足石歌:仏の足跡を刻んだ石碑に歌われる、仏教的な無常観や追悼の意が込められた独特な歌

万葉仮名によって編まれたのが、全20巻、4500首以上にも及ぶ『万葉集』です。大伴家持が編纂を主導したとされるこの歌集には、短歌だけでなく長歌仏足石歌など多様な形式が含まれています。特筆すべきは、貴族だけでなく一般庶民の歌も収められている点で、後の時代の勅撰和歌集には見られない大きな特徴です。


また、その表現も非常にストレートです。後の時代では「野暮」として避けられた、手をつなぐような直接的な愛の表現や、死を赤裸々に描くことで無常観を示すような歌も多く見られます。洗練される前の、古代人の力強く素朴な感情がそのままパッケージされているのが『万葉集』という作品の最大の魅力と言えるでしょう。

🔍 つまりどういうこと?🔍

『万葉集』は形式にとらわれず、貴族から庶民まで身分を問わず、人間の生の感情を率直に表現したエネルギーあふれる歌集です。そこには、後の平安時代のような洗練された形式美やタブーには決して縛られない、自由で人間味あふれる古代の世界が広がっています。


── 👀 読むのが疲れてきませんか? 「歴史は好きだけど、文字を読む時間はあまりない…」 そんな方には、耳で聴く読書がオススメ。

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「平安貴族は優雅で気取っている」と思っていませんか? 実は彼らも、現代人のように俗っぽい歌で盛り上がり、心の救いを求めていたのです。日本文化が生まれた瞬間の物語を紐解きます。
  • STEP 1.一気読みでサクッと把握5min

  • STEP 2.この記事で理解を深める5min

  • STEP 3.拡大版noteで裏側まで10min

── 最後に、この記事のまとめFAQでおさらいしましょう。

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まとめ:古代の言葉と「歌」

今回は、日本語の起源と文字の獲得について解説しました。中国語とは全く異なる文法を持つ日本語を書き記すために、先人たちは漢字を音として利用する知恵を絞りました。そうして生まれた文字で、彼らは喜びも悲しみも包み隠さず後世へと残したのです。それは現代の私たちにも通じる、普遍的な心の叫びと言えるでしょう。
この記事のポイントは、以下の3つです。

日本語と中国語の文法構造の違い
漢字を音で利用した万葉仮名の発明
万葉集に見る古代人の素朴な感情

ここで得た小さな気づきが、明日のあなたの視野をほんの少しだけ広げてくれますように。

❓この記事のテーマに関するFAQ❓

Q1.日本語はどこから来た言語ですか?

弥生文化と共に朝鮮半島を経由して入ってきた日琉語族と考えられています。中国語とは系統が異なり、文法構造も大きく違います。

Q2.万葉仮名とはどのようなものですか?

漢字の意味ではなく「音」を利用して日本語を表記する方法です。これにより、固有名詞や日本語固有の言葉を記述できるようになりました。

Q3.『万葉集』は後の歌集と何が違いますか?

貴族だけでなく庶民の歌も含まれている点や、恋愛や死を直接的な表現で詠んでいる点が、後の洗練された歌集とは大きく異なります。

[主な参考資料]
・佐藤信ほか編『詳説日本史(日本史探究)』山川出版社,2023
・国史教科書編纂委員会編『市販版 国史教科書』PHP研究所,2024
・笹山晴生ほか編『詳説 日本史史料集』山川出版社
出典:Wikimedia Commons
※当記事は上記の信頼できる書籍・史料に基づき作成していますが、わかりやすさを優先した独自の表現を含みます

🖋この記事を書いた人🖋

Alex Kei(学び直し歴史ライター)

早稲田大学創造理工学部卒。複数の教科書と専門書を読み比べながら、【大人の学び直し】に特化した記事を執筆しています。
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