ヤマト王権と建国の謎!神話と考古学のズレ|5分de探究#006

古墳・飛鳥・奈良
ヤマト王権と建国の謎!神話と考古学のズレ|5分de探究#006
神話と考古学にある、800年の建国時期のズレにモヤモヤしませんか?


文字史料が乏しい時代の空白を埋める海外遺物と、ヤマト王権が成立した驚きの真実を”5分”で紐解きます。

▼ この記事でわかること

Q. ヤマト王権の建国はいつ?神話と考古学のズレとは?


神話の紀元前660年に対し、考古学は3世紀頃と推定。広開土王碑などが王権の実在を証明しています。
紀元前660年の神話上の建国に対し、考古学はヤマト王権の成立を3世紀ごろと推定しています。文字記録が乏しい中、広開土王碑七支刀といった遺物が、朝鮮半島とも渡り合う強力な権力の存在を証明しました。

また、初期の箸墓古墳(奈良)から世界最大級の大仙陵古墳(大阪)への中心地の移動は、内陸の祭祀から海洋交易・軍事へと国家の性質が変化したことを物語っています。神話の霧が晴れ、人間臭い「国家」の輪郭が浮かび上がる過程を追います。
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前回のお話はこちら!

日本神話の全貌!国譲りから神武東征の流れ|5分de探究#005
「日本神話なんて、ただのファンタジーでしょ?」と思っていませんか。 実はその物語の裏には、古代日本の権力闘争やルーツに関する「リアルな歴史」が隠されています。5分で神話と史実のつながりを解き明かしましょう。

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日本の建国はいつ?神話と考古学のズレ

ヤマト王権:3世紀ごろに奈良盆地を中心に成立したとされる、日本の初期の政治連合や政権のこと。
広開土王碑:高句麗の好太王の業績を称えた石碑で、当時の日本(倭)が朝鮮半島へ進出した記述が残る。
七支刀:奈良の石上神宮に伝わる特殊な形状の剣で、百済の王から日本の王へ贈られたとされる。

日本の始まりについて、学校や神話で聞いたことがある年代と、歴史学的な見解には大きな開きがあるのをご存じでしょうか。神話では紀元前660年に初代天皇が即位したとされますが、考古学の視点では、ヤマト王権という初期国家が形作られたのは、そこから800年以上後の3世紀ごろだと考えられています。この時期、国内の文字記録はほとんどありませんが、海外の遺物が雄弁に事実を語り始めています。


文字がない時代の空白を埋めるのが、広開土王碑七支刀といった具体的なモノの証拠です。これらは、4世紀後半には日本が朝鮮半島へ軍を送ったり、外交を行ったりできるほど強力な組織を持っていたことを示しています。神話の霧を晴らし、こうした「動かぬ証拠」を繋ぎ合わせることで、私たちは初めて、国際社会に登場したばかりの日本のリアルな姿を確認することができるのです。

🔍 つまりどういうこと?🔍

神話上の建国(紀元前)と、実際の国家成立(3世紀ごろ)にはタイムラグがあります。当時の日本に文字記録は残っていませんが、朝鮮半島の石碑や剣などの出土品が、すでにヤマト王権が海外と渡り合う力を持っていたことを証明しています。


巨大な前方後円墳が平野に横たわっている航空写真


── では、その権力の中心はどこにあったのでしょうか。

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巨大古墳はなぜ移動した?

箸墓古墳:奈良県桜井市にある出現期最大の前方後円墳で、卑弥呼の墓ではないかとも議論される遺跡。
大仙陵古墳:大阪府堺市にある日本最大の前方後円墳で、仁徳天皇の陵墓として管理されている。
三輪山:奈良盆地の南東に位置する山で、山そのものを神体として崇拝する古い信仰の形を今に伝える。

ヤマト王権の発祥地は、奈良県の三輪山周辺だと推定されています。ここにある箸墓古墳などの初期の巨大古墳からは、大量の鏡が出土しており、初期の王権が宗教的な権威を背景にしていたことがうかがえます。しかし、時代が下るにつれて、お墓が作られる場所は奈良盆地から大阪平野へとダイナミックに移動していきました。


5世紀に入ると、大阪の堺周辺に世界最大級の大仙陵古墳(仁徳天皇陵)が築かれます。なぜ山際から海に近い場所へ拠点を移したのでしょうか。それは、鉄資源の輸入や朝鮮半島への遠征のために、港が必要になったからだと考えられます。お墓の巨大化と立地の変化は、王権の性格が「祈りのリーダー」から、武力と経済力を握る「軍事的な支配者」へと変質していった証左といえるでしょう。


箸墓古墳 | 奈良県歴史文化資源データベース | 奈良県歴史文化資源データベース「いかす・なら」
奈良県歴史文化資源データベース「いかす・なら」は、「出会う」「楽しむ」「深める」「活かす」の視点で奈良県の歴史文化資源をご紹介する歴史満喫サイトです。このページは箸墓古墳について紹介しています。
仁徳天皇陵古墳(大山古墳・大仙陵古墳)|スポット|堺観光ガイド

🔍 つまりどういうこと?🔍

初期の王権は奈良の山麓で宗教的な権威を持っていましたが、5世紀ごろには大阪の海沿いへ拠点を移しました。これは、巨大な「大仙陵古墳」に象徴されるように、貿易や軍事を重視する強力な政権へと進化したことを意味しています。

💡 情報が混み合っていませんか?細かい時系列は、年号整理ページ にまとめてあります。是非ご活用ください。


古い書物のページが開かれ、文字が浮かび上がっているイメージ


── では、そこに記された人物は実在したのでしょうか。

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天皇は神か人か?実在性が高まる瞬間

仁徳天皇:『記紀』に記される第16代天皇で、巨大な陵墓や民のかまどの逸話などで知られる人物。
神功皇后:仲哀天皇の皇后で、妊娠中でありながら朝鮮半島へ出兵したという伝説を持つ女性指導者。
日本書紀:奈良時代に成立した日本の歴史書で、国家の正統性を主張するために編纂された官選の史書。

歴史書である『古事記』や日本書紀を読むと、初期の天皇は寿命が異常に長く、神話的な存在として描かれています。しかし、第16代の仁徳天皇のあたりから、記述の質が変わってきます。政治や戦争に関する具体的な話が増え、架空の存在から実在の可能性が高い人物へとグラデーションのように移り変わっていくのです。


また、朝鮮出兵を指揮したとされる神功皇后のように、女性がリーダーシップを発揮する記述も登場します。現代の感覚では驚くかもしれませんが、古代日本において女性の政治的地位は低くありませんでした。推古天皇などの実在が確実な女性天皇の例を見てもわかる通り、古代の「天皇(大王)」は、性別よりもその血統や統率力が重視されるポジションだったのです。

🔍 つまりどういうこと?🔍

神話ばかりだった歴史書の内容は、仁徳天皇の時代ごろから政治的・軍事的な現実味を帯びてきます。また、神功皇后の伝承などが示すように、古代日本では女性がトップに立つことは珍しくなく、柔軟な権力構造があったと考えられます。


── 👀 読むのが疲れてきませんか? 「歴史は好きだけど、文字を読む時間はあまりない…」 そんな方には、耳で聴く読書がオススメ。

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── 最後に、この記事のまとめFAQでおさらいしましょう。

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まとめ:土の中から見えてくる国家の姿

  教科書の記述は無味乾燥に見えるかもしれませんが、そこには「土の中から見つかった事実」と「書物に書かれた物語」をすり合わせた、先人たちの研究の成果が詰まっています。神話を全否定するのではなく、考古学という別のレンズを重ねることで、私たちはより立体的で人間臭い歴史の真実に出会えるのです。
この記事のポイントは、以下の3つです。

ヤマト王権の成立は3世紀、奈良盆地で
拠点は大阪へ移動し、海洋国家へ進化
神話と事実の境目は5世紀頃から薄くなる

ここで得た小さな気づきが、明日のあなたの視野をほんの少しだけ広げてくれますように。

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❓この記事のテーマに関するFAQ❓

Q1.ヤマト王権はいつ頃誕生したのですか?

考古学的な証拠に基づくと、西暦200年代(3世紀)頃に奈良盆地周辺で成立したと考えられています。神話上の紀元前660年とは大きな開きがあります。

Q2.なぜ古墳を作る場所が奈良から大阪へ移動したのですか?

朝鮮半島への出兵や貿易のために、海へのアクセスが良い港が必要になったからです。権力の源泉が宗教から軍事・経済へ移ったことを示しています。

Q3.文字記録がない時代の歴史はどうやって調べるのですか?

古墳や出土品などの考古学的な発見と、中国や朝鮮半島に残る外国の文献記録を照らし合わせることで、当時の状況を推定します。

各時代の FAQ は、FAQまとめページ で一気見できます。是非ご活用ください。

[主な参考資料]
・佐藤信ほか編『詳説日本史(日本史探究)』山川出版社,2023
・国史教科書編纂委員会編『市販版 国史教科書』PHP研究所,2024
・笹山晴生ほか編『詳説 日本史史料集』山川出版社
出典:Wikimedia Commons
※当記事は上記の信頼できる書籍・史料に基づき作成していますが、わかりやすさを優先した独自の表現を含みます。

[この記事を書いた人]

Alex Kei(学び直し歴史ライター)

早稲田大学創造理工学部卒。複数の教科書と専門書を読み比べながら、【大人の学び直し】に特化した記事を執筆しています。


── 最後まで読んでくれたあなたへ。「5分の枠」には収まりきらなかった、もっとディープな歴史の裏側を覗いてみませんか?
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👇noteではこんな話をしてます(目次)👇

神話の初代天皇は何を語ろうとしているか
九州から大和へという筋書きの裏側を見る
古墳と三輪山が示すヤマト王権の姿
海の向こうの記録から見える国家の成長
まとめ:神話と証拠を重ねて天皇の始まりを見る


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