戦国時代の経済革命!大名の貨幣流通と領国経営|5分de探究#058

室町時代
戦国時代の経済革命!大名の貨幣流通と領国経営|5分de探究#058
戦国大名は戦争だけでなく、経済も支配していたことをご存知でしょうか?


華やかな合戦の裏側で進んだ、お金と土地の巨大な改革と、現在の経済システムの意外なルーツを”5分”で紐解きます。

▼ この記事でわかること

Q.戦国大名は、いかにして貨幣と土地を支配し経済を変えたか?


検地で土地を一元化し、を統制しつつ大量の渡来銭を流通させて経済を活性化させたからです。

戦国時代は合戦だけでなく、経済構造が劇的に変化した時代です。大名は複雑に入り組んだ荘園制を解体し、検地を行って土地支配を一元化しました。また、鉄や塩などの戦略物資を統制する一方で、領内の商業を活性化させます。

特筆すべきは、宋や明から輸入された大量の渡来銭が流通し、貨幣経済が急速に浸透したことです。これにより日本は、中世の混沌としたパッチワーク国家から、近世的な中央集権国家へと脱皮を始めました。

📚お読みになる前に📚

領主が進めた土地支配の「一元化」

荘園:貴族や寺社が所有した私有地で、複雑な権利関係が入り組んだパッチワーク状の土地。
国衙領:朝廷の地方機関が管理した公領で、荘園と混在して統治や経済活動を阻害した公的土地。
検地:大名が土地の面積や収穫量を調査し、課税基準を統一して支配を固めた行政手続き。

足利時代の日本は、まるでフランス革命前のように土地の権利関係が極めて複雑でした。一つの地域の中に、貴族や寺社が持つ荘園と、公的な国衙領「パッチワーク」のように混在していたのです。この状態では、隣り合う村同士で商売をする際にも異なる法律や税制に従わねばならず、円滑な経済活動の大きな足かせとなっていました。


そこで登場した戦国大名たちは、この非効率なシステムを打破するために動きます。彼らは徹底的な検地を実施し、土地の生産性を正確に把握するとともに、管理者を明確にしました。古い権利関係を焼き払い、自らの支配下で土地を「一元化」することで、効率的な徴税システムを構築し、強力な領国経営の基盤を築き上げたのです。

🔍 つまりどういうこと?🔍

古い時代の日本は、土地の持ち主がバラバラで、ルールも統一されておらず非常に不便でした。そこで戦国大名はこの「パッチワーク」状態を解消し、自分の領土として一括管理することにしました。こうして土地と人を直接支配することで、国を強く豊かにする確固たる土台を作り上げ、強力な支配権を確立したのです。


大名が検地帳を持って田畑を視察している様子


── では、大名たちは手に入れた土地をどう管理したのでしょうか。

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富国強兵を目指した資源の「管理」

戦略物資:鉄や塩など、軍事や生存に不可欠であり、敵対勢力への流出が厳しく制限された資源。
兵糧:行軍中の兵士や飢饉の際の領民を養う食料で、特に保存の効く塩は生命線となる物資。
富国強兵:領内の産業を育てて経済力を高め、それを背景に軍事力を強化する戦国大名の基本方針。

領国を一元管理した大名たちは、次に領内の資源管理に乗り出します。特に重視されたのが、武器の材料となる鉄や、食料保存に欠かせない塩といった戦略物資です。内陸の大名は鉄の輸出を禁じ、沿岸の大名は塩の販売を制限しました。これらが敵の手に渡れば、自分たちを攻撃する武器や、敵軍を支える兵糧となって跳ね返ってくるからです。


しかし、これは単なる鎖国ではありません。大名たちは、外部への流出を防ぐ一方で、領内での貿易や産業振興は積極的に奨励しました。農業技術や鉱山開発に投資し、領土の生産性を高めることは、そのまま自分の懐を潤します。まさに富国強兵の思想のもと、安全保障のために「閉じる」部分と、経済成長のために「開く」部分を使い分けていたのです。

🔍 つまりどういうこと?🔍

敵を利するような物資の輸出は厳しく禁止されましたが、一方で自分の領内での商売や生産活動は積極的に推奨されました。大名たちは、軍事的な「守り」と経済的な「稼ぎ」の両立を強く目指し、国家の生存をかけて戦略的に経済をコントロールし、富国強兵を実現しようとしていたのです。

💡 情報が混み合っていませんか?細かい時系列は、年号整理ページ にまとめてあります。是非ご活用ください。


山積みにされた中国の銅銭と、それを数える商人


── では、その経済活動を支えた「お金」はどこから来たのでしょうか。

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大陸から流入した大量の「渡来銭」

宋銭:日本国内で貨幣鋳造が途絶えたため、中国の宋王朝から大量に輸入され流通した銅銭。
明銭:日明貿易や密貿易を通じて流入した明王朝の貨幣で、永楽通宝などが標準通貨となった硬貨。
足利義満:明との国交を樹立して勘合貿易を開始し、大量の銅銭を輸入して国内経済を活性化させた将軍。

経済が発展するには、取引をスムーズにする通貨が不可欠です。しかし、かつて独自通貨の発行に失敗したように、当時の政府には信頼できる貨幣を作る力がありませんでした。そこで頼ったのが、海を越えてくる宋銭明銭といった中国の硬貨です。これらは材質が良く価値が安定していたため、日本の市場でそのまま通貨として使われました。


室町幕府の将軍、足利義満が明への朝貢貿易を受け入れた大きな理由の一つも、実はこの「現金の山」を手に入れるためでした。公式の貿易船だけでなく、倭寇と呼ばれる武装商船団も、禁制品である貨幣を大量に持ち込みました。こうして大陸から流入した膨大な貨幣が地方の隅々まで行き渡り、戦国時代の爆発的な経済成長を支える血液となったのです。

🔍 つまりどういうこと?🔍

当時の日本で作るお金は信用がなかったため、人々は質が良く、価値の安定した中国から輸入したお金を使っていました。公式貿易や密輸によって大量の現金が国内に入ってきたことが、商取引を活性化させ、戦国時代の爆発的な経済ブームを支える、紛れもない原動力となったのです。


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── 最後に、この記事のまとめFAQでおさらいしましょう。

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まとめ:戦国時代に起きた「大転換」

戦国時代は、中世的な古い支配体制が崩れ、より効率的で実力主義的な社会へと生まれ変わる転換点でした。大名は土地を直接管理し、戦略的な資源統制と積極的な商業振興を組み合わせることで、強固な独立国を作り上げました。この経済基盤の確立こそが、後の**天下統一事業**を可能にし、近世日本という新たな時代の扉を開いたのです。
この記事のポイントは、以下の3つです。

検地による土地支配の一元化
鉄や塩など戦略物資の統制
輸入銭が支えた経済の急成長

ここで得た小さな気づきが、明日のあなたの視野をほんの少しだけ広げてくれますように。

❓この記事のテーマに関するFAQ❓

Q1.なぜ大名は鉄や塩の輸出を禁止したのですか?

鉄は武器の材料になり、塩は兵糧や飢饉対策に不可欠だったからです。これらが敵の手に渡ることは、自らの生存を脅かすことと同義でした。

Q2.なぜ日本は独自のお金を作らなかったのですか?

後醍醐天皇などが試みましたが、政府への信用不足から定着しませんでした。そのため、質が良く価値が安定している中国の硬貨が好んで使われました。

Q3.この経済変化は後の歴史にどう影響しましたか?

土地と民衆を直接支配する大名のシステムは、江戸幕府の幕藩体制の原型となりました。中世から近世へと社会構造が移行する決定的な変化でした。

各時代の FAQ は、FAQまとめページ で一気見できます。是非ご活用ください。

[主な参考資料]
・佐藤信ほか編『詳説日本史(日本史探究)』山川出版社,2023
・国史教科書編纂委員会編『市販版 国史教科書』PHP研究所,2024
・笹山晴生ほか編『詳説 日本史史料集』山川出版社
出典:Wikimedia Commons
※当記事は上記の信頼できる書籍・史料に基づき作成していますが、わかりやすさを優先した独自の表現を含みます

🖋この記事を書いた人🖋

Alex Kei(学び直し歴史ライター)

早稲田大学創造理工学部卒。複数の教科書と専門書を読み比べながら、【大人の学び直し】に特化した記事を執筆しています。
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