毛利元就と厳島の戦い!中国地方を制した知略|5分de探究#056

室町時代
毛利元就と厳島の戦い!中国地方を制した知略|5分de探究#056
圧倒的な兵力差を覆した奇跡の勝利をご存知でしょうか?


毛利元就がいかにして厳島の戦いを制したのか。弱小勢力が大軍に勝つための、心理戦と水軍活用の極意を”5分”で紐解きます。

▼ この記事でわかること

Q.毛利元就は、厳島の戦いで中国地方をどう制したのか?


陶晴賢の大軍を狭い厳島に誘い込み、村上水軍と連携して退路を断ち奇襲で殲滅したからです。

戦国時代の軍隊は、少数の騎馬武者から給金で雇われる足軽集団へと変化しました。質より量が重視される中、安芸の毛利元就は権力を拡大します。一方、中国貿易で富を築いた大内氏は、寧波の乱を機に衰退し、家臣の陶晴賢による謀反で滅亡しました。

元就はこの混乱に乗じ、厳島に陶軍をおびき寄せます。村上水軍を味方につけて海上を封鎖し、奇襲によって大軍を撃破。この鮮やかな勝利により、毛利氏は中国地方の覇者として君臨することになったのです。

📚お読みになる前に📚

足軽の活用と毛利元就の「台頭」

足軽:戦国時代の集団戦で主力となった、農民や商人出身で給金により雇われた歩兵のこと。
朝倉孝景条々:越前の戦国大名である朝倉氏が定めた、武器は質より量を重視せよと説く実践的な家訓。
毛利元就:安芸国の小領主から身を起こし、知略を駆使して中国地方の覇者へと成り上がった武将。

戦国時代の軍隊といえば華やかな騎馬武者を想像しがちですが、実際には足軽と呼ばれる歩兵が集団戦の主力でした。彼らは武士階級ではなく、給料で雇われた農民や商人の次男坊たちです。朝倉孝景条々が示すように、高価な名刀一本より百本の槍で百人を武装させる方が、戦争において合理的だと考えられるようになったのです。


この数と組織力が物を言う時代に頭角を現したのが、毛利元就という男です。彼は安芸国の小領主として出発し、家督争いや尼子氏・大内氏という二大国の狭間での従属を余儀なくされました。しかし、彼は厳しい状況下でも国人衆をまとめ上げ、より強大な大内氏へと巧みに乗り換えることで、乱世での生き残りを図っていったのです。

🔍 つまりどういうこと?🔍

戦国の軍隊構造は、少数のエリート武士から、安価で大量動員できる歩兵部隊へとシフトしました。毛利元就はこの時代の変化の中で、大国に挟まれながらも巧みに主君を変えて戦力を温存し、来るべきチャンスに備えて着実に力を蓄えるという、極めて現実的な生存戦略をとっていたのです。


中国地方の地図と大内氏の支配領域を示す図版


── では、元就が従った大内氏はなぜ強大だったのか、その力の源泉を見てみましょう。

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大内氏の滅亡を招いた明との「勘合貿易」

勘合貿易:明の皇帝から許可証を得た者だけが行うことを許された、室町時代における日明間の正規貿易。
寧波の乱:大内氏と細川氏が中国の貿易港で武力衝突し、日本人が追放される直接の原因となった事件。
大内義隆:周防国を本拠とし中国貿易で巨万の富を得るも、文治政治に傾倒し家臣の謀反により自害した大名。

元就が当初従っていた大内氏の強さは、瀬戸内海の制海権勘合貿易による莫大な経済力にありました。当時、明王朝は貿易を厳しく制限していましたが、大内氏は正規の許可証である勘合を独占し巨利を得ていたのです。しかし1523年、ライバルの細川氏と中国の寧波で武力衝突する事件を起こし、明から貿易を拒絶されてしまいます。


最大の資金源である貿易が枯渇する中、当主の大内義隆は相次ぐ敗戦と愛息の死により政治への意欲を完全に喪失します。彼が文治政治に傾倒し武断派の家臣を冷遇した結果、筆頭家老である陶晴賢の謀反を招き、自害に追い込まれました。この西日本最大の名門のあっけない崩壊は、皮肉にも毛利元就にとって最大の好機となったのです。

🔍 つまりどういうこと?🔍

大内氏は日明貿易の独占で繁栄を極めましたが、中国現地でのトラブルでドル箱の収入源を断たれてしまいます。さらに当主・義隆の求心力低下が家臣団の分裂と反乱を招き、内部崩壊しました。この大国の自滅が、西日本の勢力図が大きく塗り替わる決定的なトリガーとなったのです。

💡 情報が混み合っていませんか?細かい時系列は、年号整理ページ にまとめてあります。是非ご活用ください。


厳島神社の鳥居と周辺の地形を示す戦略的な画像


── では、元就はいかにして謀反人・陶晴賢を討ち取ったのか確認しましょう。

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厳島の戦いを制した村上水軍の「加勢」

陶晴賢:主君である大内義隆を討って実権を握るも、厳島で毛利元就の奇策に敗れ自害した戦国武将。
厳島の戦い:毛利元就が少数の兵で陶晴賢の大軍を奇襲し、中国地方における覇権を決定づけることになった合戦。
村上水軍:瀬戸内海を支配した強力な海賊衆であり、この戦いで毛利方に味方し勝利に大きく貢献した一族。

元就は5年の沈黙の後、主君の敵討ちという大義名分を掲げて陶晴賢に宣戦布告しました。しかし兵力差は歴然としています。そこで元就は、敵を狭い島におびき寄せる罠を仕掛けます。これが1555年の厳島の戦いです。彼はあえて自分の拠点を囮にし、大軍である陶軍を厳島へ上陸させ、大軍ゆえに身動きが取れない状態を作り出しました。


この一発逆転作戦の鍵を握ったのが、瀬戸内海最強の海賊、村上水軍の動向です。元就は彼らを味方につけることで制海権を掌握し、陶軍の退路と補給路を完全に断ちました。袋の鼠となった陶晴賢は壊滅し自刃。元就はこの勝利によって一気に勢力を拡大し、最終的に中国地方8カ国を支配する大大名へと飛躍することになったのです。

🔍 つまりどういうこと?🔍

元就はまともに戦えば負ける相手を、地形と心理戦を利用して不利な場所へ誘い込みました。さらに海賊衆の協力を得ることで海からの逃げ道を塞ぎ、少数の兵で大軍を包囲殲滅するという、常識外れのジャイアントキリングを達成したのです。この勝利こそが、彼の覇権を決定づけました。


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── 最後に、この記事のまとめFAQでおさらいしましょう。

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まとめ:中国地方を制覇した知将の「戦略」

毛利元就の躍進は、時代の変化を読み解く力と、好機を逃さない冷徹な判断力によるものでした。足軽という新しい戦力を使いこなし、大国の自滅を誘い地の利を生かして大軍を破る。これら全てが噛み合った結果の覇権だったのです。
この記事のポイントは、以下の3つです。

質より量を重視した足軽の登用
貿易利権の喪失による大内氏の弱体化
海賊衆を味方につけた厳島での勝利

ここで得た小さな気づきが、明日のあなたの視野をほんの少しだけ広げてくれますように。

❓この記事のテーマに関するFAQ❓

Q1.毛利元就はいつから勢力を拡大したのですか?

1551年の大内義隆の死後、特に1555年の厳島の戦いでの勝利を契機として、急速に中国地方全域へとその支配領域を広げていきました。

Q2.勘合貿易と寧波の乱の関係は何ですか?

勘合は貿易許可証ですが、大内氏と細川氏がその正当性を争い中国で暴動を起こしたため、明側が日本との通商を拒否する原因となりました。

Q3.なぜ元就は村上水軍を必要としたのですか?

厳島は海に囲まれており、敵の退路を断ち補給を阻止するためには、強力な海軍力による海上封鎖が作戦の成功に不可欠だったからです。

各時代の FAQ は、FAQまとめページ で一気見できます。是非ご活用ください。

[主な参考資料]
・佐藤信ほか編『詳説日本史(日本史探究)』山川出版社,2023
・国史教科書編纂委員会編『市販版 国史教科書』PHP研究所,2024
・笹山晴生ほか編『詳説 日本史史料集』山川出版社
出典:Wikimedia Commons
※当記事は上記の信頼できる書籍・史料に基づき作成していますが、わかりやすさを優先した独自の表現を含みます

🖋この記事を書いた人🖋

Alex Kei(学び直し歴史ライター)

早稲田大学創造理工学部卒。複数の教科書と専門書を読み比べながら、【大人の学び直し】に特化した記事を執筆しています。
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