明治憲法と伊藤博文!自由民権運動を封じた罠|5分de探究#094

明治・大正
明治憲法と伊藤博文!自由民権運動を封じた罠|5分de探究#094
明治憲法は伊藤博文が仕掛けた独裁のための罠だったのか?


教科書には載らないドロドロした権力闘争の裏側と、伊藤も予測不能だった意外な結末。近代国家へと脱皮する激動のドラマを”5分”で紐解きます。

▼ この記事でわかること

Q. 明治憲法で伊藤博文はいかに自由民権運動を封じたのか?


ドイツ流憲法で独裁を狙うも、議会の予算審議権が逆襲の鍵となり、立憲政治への道が開かれました。

明治新政府内では、薩摩・長州の藩閥勢力と、土佐・肥前の自由主義派が激しく対立していました。伊藤博文ら薩長派は、「明治十四年の政変」などの政争を通じて板垣退助や大隈重信を追放し、権力を独占します。

これに対し板垣らは自由民権運動を展開し、政党を結成して激しく対抗しました。伊藤はドイツ流の大日本帝国憲法を制定して統制を図りますが、議会は予算審議権を武器に政府へ反撃を開始し、立憲政治への道が開かれたのです。

政敵を追放せよ!伊藤博文が仕掛けた「罠」

征韓論:武力を用いて朝鮮を開国させようとする、明治初期の政府内で激しく対立した外交上の主張。
明治六年の政変:征韓論争に敗れた西郷隆盛や板垣退助らが、抗議のために一斉に新政府の職を辞した事件。
明治十四年の政変:伊藤博文が大隈重信を政府から追放し、薩長藩閥による独裁体制を決定づけたクーデター。

明治維新後の新政府は、決して一枚岩の組織ではありませんでした。政府内部では、薩摩・長州出身の独裁的ブロックと、土佐・肥前出身の自由主義ブロック主導権を巡り激しく対立していたのです。この深い亀裂が決定的となって表面化し、政府を二分したのが、外交方針を巡る征韓論の激しい論争と、それに続く明治六年の政変でした。


土佐の板垣退助らが去った後も、肥前の大隈重信は政府に残り改革を訴え続けました。しかし、彼もまた伊藤博文の巧みな策略によって追い出されます。伊藤はスキャンダルを利用して大隈の信用を失墜させ、明治十四年の政変を断行しました。これにより、薩長藩閥による長期的な独裁支配体制が、盤石なものとして完成することになったのです。

🔍 つまりどういうこと?🔍

明治政府内の対立は、単なる思想の違いだけでなく、出身藩による地理的な権力争いの側面も色濃く持っていました。伊藤博文ら薩長派は、政敵である板垣や大隈を次々と追放するという強硬手段を用いることで、自分たちに都合の良い独裁的な権力基盤を、誰にも邪魔されない形で確立することに成功したのです。


板垣退助らの自由民権派が政府を去り、野に下って新たな活動を始める決意の表情のイラスト


── では、野に下った彼らはどう動いたのでしょうか。

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板垣退助の執念!言論で戦う自由への「道」

自由党:板垣退助を党首として結成された、フランス流の急進的な思想を持つ日本初の本格的政党。
立憲改進党:大隈重信が結成した、イギリス流の議会政治を目指す、学者や知識人中心の穏健な政党。
自由民権運動:藩閥政府による専制政治を批判し、国会開設や憲法制定を求めて全国的に展開された運動。

政府を追われた板垣退助と大隈重信は、ただ黙って引き下がったわけではありません。彼らはそれぞれ自由党立憲改進党を組織し、国民の声を背景に政府へ対抗しようとしました。これが全国的なうねりとなった自由民権運動です。彼らは言論と組織の力で、閉鎖的な藩閥政府に対して風穴を開けようと、全国各地で激しく迫ったのです。


運動は時に過熱し、各地で暴力的な衝突すら招きました。板垣が岐阜で暴漢に襲われた際、「板垣死すとも自由は死せず」と叫んだという逸話はあまりに有名です。この事件は運動の象徴として語り継がれ、彼らの要求は政府も無視できないほどの大きな社会的圧力となり、国会開設を約束させるところまで政府を追い詰めていったのです。

🔍 つまりどういうこと?🔍

権力の座を追われた自由主義者たちは、日本初の政党を結成することで組織的な反撃に出ました。命の危険すら伴う激しい活動を通じて、彼らは専制的な政府に対し、国民の代表による政治参加国会の即時開設を強く迫り続け、その声は政府も無視できないほどの大きな国民的うねりへと成長したのです。

💡 情報が混み合っていませんか?細かい時系列は、年号整理ページ にまとめてあります。是非ご活用ください。


大日本帝国憲法発布式で、明治天皇から憲法を受け取る黒田清隆首相とそれを見守る伊藤博文のイラスト


── では、政府はどのように応じたのでしょうか。

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伊藤博文の誤算!予算を盾に戦う議会の「壁」

大日本帝国憲法:伊藤博文がプロイセン憲法を参考に起草し、天皇主権と強力な行政権を定めた国家の最高法規。
帝国議会:大日本帝国憲法の下で設置された、公選の衆議院と非公選の貴族院から成る国の立法機関。
立憲政友会:議会対策に苦慮した伊藤博文が、既存の政党を取り込んで自ら組織した日本初の本格的与党。

伊藤博文は、ドイツ(プロイセン)をモデルに大日本帝国憲法を作成しました。これは天皇に強い権限を残しつつ、民衆の不満のガス抜きとして帝国議会を設置するものでした。しかし、天皇が直接統治しないシステムは権力の所在を曖昧にし、これが後に軍部の暴走などを招く国家の構造的な弱点ともなってしまったことは否めません。


伊藤にとって最大の誤算は、議会が持つ「予算審議権」の想定以上の強さでした。選挙で勝った民党(野党)は、予算成立を人質に取って政府を激しく攻撃したのです。これに対抗するため、伊藤自身も立憲政友会という政党を作らざるを得なくなりました。独裁を目指した彼が、皮肉にも日本の政党政治の扉を自ら開くことになったのです。

🔍 つまりどういうこと?🔍

伊藤博文は憲法制定によって民権運動をコントロールしようと画策しましたが、議会に与えた予算審議権がブーメランのように政府を苦しめる結果となりました。こうして政府と政党が互いに駆け引きを行う、近代的な議会政治の土台が、皮肉にも独裁を目指した伊藤の手によって出来上がっていったのです。


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── 最後に、この記事のまとめFAQでおさらいしましょう。

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まとめ:明治の政治闘争が生んだ「立憲」

明治憲法体制は、伊藤博文ら藩閥政府が自由民権運動を抑え込むために設計した精巧な装置でした。しかし、排除された板垣退助や大隈重信らの執念と、議会に与えられた権限が、独裁的な統治に大きな風穴を開けました。完全な民主主義ではないものの、この熱い攻防こそが、現在の日本の政党政治へと続く重要な原点となったのです。
この記事のポイントは、以下の3つです。

政敵排除で固めた薩長藩閥の独裁
言論と政党で対抗した民権派の熱
議会運営に苦戦し政党を作った伊藤

ここで得た小さな気づきが、明日のあなたの視野をほんの少しだけ広げてくれますように。

❓この記事のテーマに関するFAQ❓

Q1.明治憲法はいつ、誰が中心となって作られましたか?

1889年に発布されました。伊藤博文が中心となり、井上毅や金子堅太郎らと共に、ドイツの憲法学者グナイストらの助言を得て起草しました。

Q2.なぜ自由党と立憲改進党は分裂していたのですか?

支持基盤や理想とする政治モデルが異なったからです。自由党はフランス流の急進的な変革を、改進党はイギリス流の穏健な議会政治を目指しました。

Q3.天皇主権だったのに、実際は天皇が政治をしなかったのはなぜ?

政治的失敗の責任を負わないためです。天皇は神聖な象徴として振る舞い、実際の政治判断と責任は国務大臣らが負う形式が取られました。

各時代の FAQ は、FAQまとめページ で一気見できます。是非ご活用ください。

[主な参考資料]
・佐藤信ほか編『詳説日本史(日本史探究)』山川出版社,2023
・国史教科書編纂委員会編『市販版 国史教科書』PHP研究所,2024
・笹山晴生ほか編『詳説 日本史史料集』山川出版社
出典:Wikimedia Commons
※当記事は上記の信頼できる書籍・史料に基づき作成していますが、わかりやすさを優先した独自の表現を含みます

🖋この記事を書いた人🖋

Alex Kei(学び直し歴史ライター)

早稲田大学創造理工学部卒。複数の教科書と専門書を読み比べながら、【大人の学び直し】に特化した記事を執筆しています。
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